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建設業法第19条の請負契約書とは?記載事項・契約変更・電子契約をわかりやすく解説

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建設業法第19条の請負契約書とは?記載事項・契約変更・電子契約をわかりやすく解説

建設業法第19条の請負契約書とは?記載事項・契約変更・電子契約をわかりやすく解説

2026/08/20

建設工事の請負契約を締結するときは、契約内容を明確にし、建設業法で定められた事項を契約書面等に記載することが求められています。その根拠となるのが、建設業法第19条です。

建設業法第19条では、請負契約を締結する際に、工事内容、請負代金、工期など、契約に関する一定の事項を明記することが求められています。また、契約締結後に設計変更や追加工事、工期変更などが発生した場合についても、変更内容を適切に書面化することが重要です。

請負契約書を適切に作成することは、契約当事者間の認識違いを防ぎ、工事代金や工期、追加工事などをめぐるトラブルを防止するうえでも重要です。

さらに、現在は一定の要件を満たすことで、紙の契約書だけでなく電子契約によって建設工事の請負契約を締結することもできます。

なお、建設業法第19条の請負契約書に関するルールと、建設業許可を取得するための要件は別の制度です。建設業許可を取得・更新する場合にも、両者を混同せず、それぞれのルールを確認する必要があります。

本コラムでは、建設業法第19条の基本から、請負契約書に記載すべき事項、契約変更時の注意点、注文書・請書による契約、電子契約の扱いまで、建設工事の請負契約で押さえておきたいポイントを解説します。

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目次

    第1章 建設業法第19条と請負契約書の基本

    建設業法第19条とは?請負契約書の基本を解説

    建設業法第19条は、建設工事の請負契約を適正に締結するため、契約内容を書面に記載することなどを定めた規定です。

    建設工事では、工事の内容や請負代金、工期、代金の支払方法など、契約時に確認しておくべき事項が数多くあります。これらを口頭で決めるだけでは、後になって当事者間の認識に違いが生じ、追加工事の費用や工期、支払条件などをめぐるトラブルにつながる可能性があります。

    そこで建設業法第19条では、建設工事の請負契約を締結する際に、一定の事項を契約書面に記載し、契約当事者がその内容を確認できるようにすることを求めています。

    また、契約締結後に工事内容や請負代金、工期などを変更する場合にも、変更内容を適切に書面化することが重要です。

    請負契約書は単なる形式的な書類ではなく、「誰が、どの工事を、いくらで、いつまでに施工し、どのような条件で代金を支払うのか」を明確にするための重要な書類です。

    次項から、建設業法第19条が適用される契約や、契約書面に記載する具体的な事項について詳しく見ていきます。

    建設工事の請負契約で書面化が必要な理由

    建設工事の請負契約では、契約内容を明確にしておくことが重要です。工事が始まってから「そこまで工事に含まれているとは聞いていない」「追加工事の費用は誰が負担するのか」「完成時期はいつだったのか」といった認識の違いが生じると、発注者と請負人との間でトラブルになる可能性があります。

    建設業法第19条は、このような契約内容の不明確さを防ぐため、建設工事の請負契約について一定の事項を書面に記載することを求めています。

    契約書面には、工事の内容や請負代金、工期だけでなく、契約内容を変更する場合の取扱いや、完成後の検査・引渡し、代金の支払などについても、契約の内容に応じて明確にしておく必要があります。

    また、契約内容を事前に書面で確認しておくことは、トラブルが発生した際に「当時どのような条件で契約したのか」を確認するうえでも役立ちます。

    そのため、請負契約書は単に法律上の形式を整えるためのものではなく、発注者と請負人の双方が契約条件を正確に確認し、工事を円滑に進めるための重要な書類と考えることができます。

    建設業法第19条は全国共通のルール

    建設業法第19条は、建設工事の請負契約について、契約内容を書面に記載することなどを定めた国の法律上のルールです。

    そのため、建設業法第19条の基本的な適用や、請負契約書に記載すべき事項については、兵庫県、大阪府、東京都など、事業者が所在する地域によって変わるものではありません。

    建設業の許可には、国土交通大臣許可と都道府県知事許可がありますが、どちらの許可を受けている建設業者であっても、建設業法第19条に定められた請負契約に関するルールを守る必要があります。

    一方で、建設業許可の申請方法や提出書類、申請窓口などについては、知事許可を受ける場合には各都道府県の手引や案内を確認する必要があります。

    このように、「請負契約に関する建設業法上のルール」と「建設業許可の申請手続」は分けて考えることが大切です。契約書について確認するときは、まず建設業法第19条などの法令を基準とし、許可申請について確認するときは、申請先となる行政庁の最新の案内を確認するとよいでしょう。

    元請・下請の契約にも適用される建設業法第19条

    建設業法第19条の契約書面に関するルールは、元請業者と発注者との契約だけに適用されるものではありません。建設業者が建設工事の請負契約を締結する場合には、下請契約についても適用されます。

    例えば、建設業者が発注者から工事を請け負い、その工事の一部を別の建設業者に請け負わせる場合、元請業者と下請負人との間でも請負契約を締結することになります。この契約についても、建設業法第19条に基づき、契約内容を適切に書面化する必要があります。

    下請契約では、工事内容や請負代金だけでなく、工期、代金の支払条件、設計変更や追加工事が発生した場合の取扱いなどを明確にしておくことが重要です。

    特に下請工事では、現場で追加工事や施工範囲の変更が発生することがあります。こうした変更を口頭だけで処理すると、追加代金の支払や工期をめぐってトラブルになる可能性があります。

    そのため、元請・下請のどちらの立場であっても、契約時に条件を明確にし、変更が生じた場合にはその内容を適切に記録することが大切です。

    建設業許可と請負契約書の関係を正しく理解する

    建設業法第19条に基づく請負契約書の作成と、建設業許可を取得するための要件は、別の制度です。

    建設業許可は、建設業を営むために必要となる許可制度で、一定の要件を満たしたうえで行政庁に申請する必要があります。一方、建設業法第19条は、建設工事の請負契約を締結する際に、契約内容を適切に書面化するためのルールです。

    そのため、「第19条の契約書を作成すれば建設業許可を取得できる」という関係ではありません。また、請負契約書の内容だけを見て、建設業許可の取得要件を満たしているかどうかを判断することもできません。

    建設業許可を申請する際には、許可に関する法令や申請先の最新の手引などを確認し、請負契約については建設業法第19条をはじめとする契約関係の規定を確認する必要があります。

    この2つを混同せず、「許可を取得・維持するためのルール」と「工事の請負契約を適正に行うためのルール」を分けて考えることが、建設業を適切に運営するうえで重要です。

    第2章 建設業法第19条の請負契約書に記載する事項

    工事内容・請負代金・工期を明確に記載する

    建設業法第19条では、建設工事の請負契約を締結する際に、工事内容、請負代金の額、工事着手の時期および工事完成の時期など、一定の事項を契約書面に記載することが定められています。

    まず重要なのは、どのような工事を請け負うのかを明確にすることです。工事名称だけでは施工範囲が分かりにくい場合には、図面、仕様書、見積書などの関連資料との関係も明確にし、契約の対象となる工事を特定できるようにします。

    請負代金についても、契約金額を明確に記載します。消費税の取扱いや、追加工事などによって代金が変更される場合の取扱いについても、契約内容に応じて確認しておくことが重要です。

    工期については、工事の着手時期と完成時期を明確にします。契約後に工期を変更することになった場合には、その変更内容についても適切に書面化する必要があります。

    このように、「何を施工するのか」「いくらで請け負うのか」「いつからいつまで施工するのか」を契約時点で明確にしておくことが、請負契約を適正に行うための基本となります。

    工事を施工しない日・時間帯に関する事項

    建設業法第19条では、契約書面に記載する事項として、工事を施工しない日または時間帯を定める場合には、その内容も明示することとされています。

    例えば、近隣への騒音や振動への配慮、道路や施設の利用制限、発注者側の業務時間などの事情から、特定の曜日や時間帯には工事を行わないことを契約上定める場合があります。

    このような施工上の制限がある場合には、契約書面に具体的な内容を記載し、発注者と請負人の双方があらかじめ確認できるようにしておくことが重要です。

    一方で、すべての建設工事について、必ず施工しない日や時間帯を設定しなければならないという意味ではありません。施工しない日または時間帯を契約上定める場合に、その内容を明確にすることが求められているという点に注意しましょう。

    また、契約締結後に施工時間などの条件が変更された場合には、変更後の内容についても契約当事者間で確認し、必要に応じて書面化することが大切です。

    請負代金の支払時期・支払方法を定める

    建設工事の請負契約では、請負代金をいつ、どのような方法で支払うのかを明確にしておくことが重要です。

    建設業法第19条では、前金払又は出来形部分に対する支払を定める場合には、その支払の時期及び方法を契約書面に記載することが定められています。また、工事完成後における請負代金の支払の時期及び方法についても、契約書面に記載する事項とされています。

    例えば、工事完成後に一括して支払うのか、前金払や出来形に応じた支払いを行うのかなど、契約で定めた支払条件を明確にします。支払を複数回に分ける場合には、それぞれの支払時期や方法が明確に分かるようにしておくことが大切です。

    また、請負代金の支払条件は、工事の進捗や資金繰りにも関係する重要な契約条件です。発注者と請負人の間で認識が異なることがないよう、契約締結時に具体的な条件を確認しておきましょう。

    なお、前金払や出来形払を必ず設定しなければならないという意味ではありません。 前金払や出来形部分に対する支払を契約で定める場合には、その支払時期及び方法を明確に記載する必要があります。

    設計変更・工期変更・請負代金変更の方法を定める

    建設工事では、契約を締結した後に設計変更が発生したり、工事内容の追加・変更によって工期や請負代金を見直したりすることがあります。

    建設業法第19条では、こうした場合に備えて、工期の変更、請負代金の変更、工事の施工によって生じた損害の負担などについて、変更の方法やその額の算定方法を契約書面に定めることが求められています。

    例えば、当初の設計には含まれていなかった工事を追加する場合には、追加する工事の内容だけでなく、それに伴う請負代金や工期への影響についても確認する必要があります。

    変更内容を口頭で合意しただけにしてしまうと、後になって「追加工事だったのか」「代金はいくらなのか」「工期はどこまで延長されたのか」といった点で、当事者間に認識の違いが生じる可能性があります。

    そのため、契約時から、変更が必要になった場合にどのような手続で契約条件を変更するのかを明確にしておき、実際に変更が生じた場合には、その内容を適切に書面化することが重要です。

    不可抗力・価格変動・損害負担などの取扱いを定める

    建設工事では、契約締結後に天災その他の不可抗力が発生したり、資材価格などが変動したりすることで、当初の契約内容をそのまま維持することが難しくなる場合があります。

    建設業法第19条では、こうした場合に備えて、天災その他の不可抗力による工期の変更や損害の負担、その額の算定方法について、契約書面に定めることとされています。

    また、価格等の変動又は変更に基づいて工事内容や請負代金の額を変更する場合についても、その変更方法や請負代金の額の算定方法を契約書面に定める必要があります。

    例えば、主要な建設資材の価格が大きく変動した場合に、どのような基準で請負代金を見直すのかをあらかじめ定めておくことで、契約締結後に価格変動が生じた場合の協議を進めやすくなります。

    さらに、工事の施工によって第三者に損害が生じた場合についても、その損害の賠償金を誰がどのように負担するのかを契約書面に定めておく必要があります。

    これらの事項について契約時にあらかじめルールを明確にしておくことで、予期しない事情が発生した場合にも、当事者間で協議する際の基準を明確にすることができます。

    第3章 請負契約の締結・変更で注意したいポイント

    契約書を作成するタイミングと相互交付のルール

    建設工事の請負契約では、工事が始まってから契約条件を書面にまとめるのではなく、契約を締結する段階で、契約内容を明確にしておくことが重要です。建設業

    法第19条では、建設工事の請負契約を締結する際に、契約の内容を記載した書面を作成し、契約当事者間で取り交わすことが定められています。

    契約書には、工事内容、請負代金、工期などの法定記載事項を盛り込み、発注者と請負人の双方が契約条件を確認できるようにします。

    また、契約締結後に設計変更や追加工事などが発生した場合には、変更された条件についても書面化する必要があります。工事が先に進んでしまうと、変更内容や追加費用について当事者間の認識がずれることがあるため、変更が決まった段階で速やかに契約内容へ反映することが大切です。

    なお、契約書は必ずしも「契約書」という一つの書類だけで作成しなければならないわけではありません。注文書・請書や契約約款など、複数の書面を組み合わせて契約する方法もあります。その場合も、契約全体として建設業法第19条で求められる事項を満たしているか確認する必要があります。

    注文書・請書・契約約款を組み合わせる場合の注意点

    建設工事の請負契約では、必ずしも一つの「契約書」にすべての契約内容を記載しなければならないわけではありません。注文書と請書、契約約款など、複数の書面を組み合わせて契約を締結することもできます。

    例えば、注文書に工事内容、請負代金、工期などの個別条件を記載し、請書でその注文を受けるとともに、契約約款で共通する契約条件を定める方法があります。

    このような方法を採用する場合に重要なのは、書類を個別に見るのではなく、それらを合わせた契約全体で建設業法第19条の要件を満たしているか確認することです。

    また、注文書や請書と契約約款との関係が不明確だと、どの条件が契約内容として適用されるのか分からなくなる可能性があります。そのため、どの約款を適用するのか、注文書・請書とどのような関係になるのかを明確にしておく必要があります。

    複数の書面を組み合わせる場合でも、工事内容、請負代金、工期などの契約条件が当事者双方にとって明確になっていることが重要です。

    追加工事が発生した場合の契約変更

    建設工事では、当初の契約には含まれていなかった追加工事や、設計変更による工事内容の変更が発生することがあります。

    このような場合、追加する工事の内容や請負代金、工期などについて、発注者と請負人の間で協議し、変更内容を明確にしたうえで、契約内容に反映することが重要です。

    特に、追加工事について「まず工事を進めて、金額は後で決める」という進め方は、後になって追加工事の範囲や請負代金について認識の違いが生じる原因となります。

    追加工事を行うことが決まった場合には、工事内容だけでなく、追加される請負代金や工期への影響についても確認し、必要に応じて変更契約書やその他の契約書面に反映しておくことが大切です。

    また、追加工事が当初の契約内容に含まれるのか、新たな工事として追加されるものなのかを明確にしておくことも重要です。口頭での合意だけで進めるのではなく、後から契約内容を確認できるよう、書面に記録しておきましょう。

    設計変更や工期変更を行う場合の書面化

    建設工事では、契約締結後に設計変更や工事内容の変更が生じることがあります。このような場合には、当初の契約内容のうち、何を変更するのかを明確にしたうえで、変更後の契約条件を書面に反映することが重要です。

    例えば、工事内容の変更に伴って請負代金や工期を変更する場合には、変更する工事の内容、変更後の請負代金、変更後の工期などを明確にしておきます。

    変更内容を記録する際には、当初の契約書と変更後の内容を照らし合わせたときに、どの部分が変更されたのか分かるようにしておくことが大切です。

    また、変更契約を締結する場合には、変更内容だけでなく、当初の契約との関係も確認できるようにしておくと、後から契約内容を確認する際にも役立ちます。

    契約変更についても口頭での合意だけで済ませるのではなく、変更内容を適切に書面化し、発注者と請負人の双方が確認できる状態にしておきましょう。

    契約書と見積書・注文書などの内容を一致させる

    建設工事では、契約書だけでなく、見積書、注文書、請書、仕様書、図面など、複数の書類を使って契約内容を整理することがあります。

    これらの書類に記載された工事内容や請負代金、工期などが一致していないと、後になって「どの内容が契約条件なのか」が分からなくなる可能性があります。

    例えば、見積書では含まれている工事が契約書では対象外になっていたり、注文書と請書で請負金額が異なっていたりすると、追加工事や代金の支払いをめぐるトラブルにつながるおそれがあります。

    そのため、契約を締結する際には、契約書だけでなく契約内容に関係する書類も確認し、それぞれの内容に矛盾がないかを確認することが重要です。

    また、契約変更を行った場合には、変更後の見積書や注文書などについても、変更契約の内容と整合しているか確認しましょう。書類を個別に管理するのではなく、案件ごとに契約関係の資料を整理しておくと、後から契約内容を確認するときにも役立ちます。

    第4章 建設業法第19条で定められる契約上の重要事項

    支給材料・貸与品の内容と取扱い

    建設工事では、発注者から請負人に対して、工事に使用する材料を支給したり、建設機械や設備などを貸与したりする場合があります。

    このような支給材料や貸与品がある場合には、その内容や取扱いを契約上明確にしておくことが重要です。

    例えば、どの材料を誰が用意するのか、貸与される機械や設備は何か、引渡しや返還をどのように行うのかなどをあらかじめ確認しておきます。支給された材料に不足や不具合があった場合や、貸与品が破損した場合などについても、契約内容に応じて責任の所在を整理しておくとよいでしょう。

    特に、材料の調達を発注者と請負人のどちらが行うのかが曖昧なままだと、工事費用や工期に影響する可能性があります。

    そのため、契約書を作成する際には、支給材料や貸与品の有無だけでなく、その具体的な内容や取扱いについても確認し、当事者間の認識を一致させておくことが大切です。

    完成検査・引渡し・請負代金の支払

    建設工事が完成した後は、完成した工事の確認や引渡し、請負代金の支払いなど、契約を終えるまでの手続が必要になります。

    請負契約を締結する際には、完成した工事についてどのように検査を行い、いつ引渡しを行うのか、また請負代金をいつ支払うのかを明確にしておくことが重要です。

    例えば、工事完成後に発注者が検査を行い、検査に合格した後に引渡しを行う場合には、その手順や時期を契約内容として確認しておきます。また、完成後の検査から引渡し、請負代金の支払いまでに一定の期間を設ける場合には、それぞれの時期が分かるようにしておくとよいでしょう。

    特に、検査や引渡しの時期が曖昧なままだと、請負代金の支払時期にも影響する可能性があります。そのため、契約書を作成する際には、工事完成後の検査から引渡し、代金支払いまでの流れを当事者間で確認しておくことが大切です。

    なお、契約内容によって必要となる事項や具体的な手続は異なるため、実際の契約では工事の内容や支払条件に応じて整理する必要があります。

    契約不適合があった場合の責任

    建設工事が完成して引渡しを受けた後、施工された工事に契約の内容と異なる部分が見つかることがあります。このような場合に備えて、契約不適合があったときの責任や対応について、契約内容を明確にしておくことが重要です。

    例えば、施工内容が契約で定めた仕様と異なっていた場合や、契約上求められていた品質・性能を満たしていない場合などには、補修などの対応が必要となることがあります。

    請負契約書を作成する際には、契約不適合が発生した場合の対応方法や責任の範囲、必要に応じて補修などを行う期間について確認しておきます。

    また、契約不適合をめぐるトラブルを防ぐためには、そもそもの契約内容を具体的にしておくことも大切です。図面や仕様書などを契約関係書類として明確に位置付け、完成した工事がどのような内容であれば契約どおりなのかを確認できる状態にしておくことが重要です。

    契約不適合に関する責任は、契約内容や工事の種類などによって具体的な取扱いが異なるため、契約書を作成する際には個別の事情に応じて確認する必要があります。

    違約金・遅延損害金などの取扱い

    建設工事の請負契約では、契約当事者の一方が契約上の義務を履行しなかった場合に備えて、違約金や遅延損害金などについて定めることがあります。

    建設業法第19条では、契約上の債務不履行があった場合における遅延利息、違約金その他の損害金について、その内容を契約書面に記載することが定められています。

    例えば、請負人側の工事完成が遅れた場合や、発注者側の代金支払いが遅れた場合など、契約上の義務が予定どおり履行されなかったときの取扱いをあらかじめ定めておくことが考えられます。

    契約書では、単に「違約金が発生する」と記載するだけではなく、どのような場合に発生するのか、金額や算定方法をどのようにするのかなど、契約内容に応じて具体的に確認しておくことが重要です。

    また、違約金や損害金の条項は、契約当事者双方に関係する重要な条件です。一方的に条件を設定するのではなく、契約締結時に内容を確認し、当事者双方が合意した条件として明確にしておくことが大切です。

    契約解除・紛争解決方法をあらかじめ定める

    建設工事では、契約を締結した後に、当事者の事情や工事を取り巻く状況の変化によって、契約を継続することが難しくなる場合があります。

    そのため、請負契約を締結する際には、どのような場合に契約を解除できるのか、解除した場合に工事済みの部分や請負代金をどのように扱うのかなどについて、契約内容に応じて明確にしておくことが重要です。

    また、契約に関する問題が発生した場合に備えて、当事者間の協議や調停、仲裁、訴訟など、紛争をどのように解決するのかについても契約書面に定めます。

    契約解除や紛争解決に関する条項は、実際に問題が起きてから確認するのではなく、契約締結時に双方が内容を理解し、どのような場合にどの手続を取るのかを明確にしておくことが大切です。

    なお、具体的な解除条件や責任の範囲などは、工事の内容や契約条件によって異なります。契約書を作成する際には、法定記載事項だけでなく、実際の工事に必要な契約条件が適切に定められているか確認しましょう。

    第5章 電子契約で建設業法第19条に対応する方法

    建設工事の請負契約で電子契約は利用できる?

    建設工事の請負契約では、紙の契約書だけでなく、電子契約を利用して契約を締結することも可能です。

    建設業法第19条では、建設工事の請負契約について一定の事項を記載した書面を相互に交付することを原則としていますが、一定の要件を満たす場合には、情報通信の技術を利用して契約内容を提供する方法も認められています。

    電子契約を利用することで、契約書の印刷や郵送、押印などにかかる手間を減らすことができ、契約締結までの時間を短縮できる場合があります。また、電子データとして契約書を管理することで、過去の契約を検索・確認しやすくなるというメリットもあります。

    ただし、電子契約であればどのような方法でもよいというわけではありません。建設業法上認められる方法で契約内容を提供し、必要な記載事項を満たしたうえで、契約内容を適切に保存・管理する必要があります。

    電子契約を導入する場合には、利用するサービスや契約方法が建設業法などの関係法令に対応しているかを確認したうえで運用することが重要です。

    電子契約でも建設業法第19条の記載事項は必要

    電子契約を利用する場合でも、紙の契約書と同様に、建設業法第19条で求められる契約事項を適切に盛り込む必要があります。

    特に重要なのは、電子化すること自体ではなく、契約内容を正確に記録し、契約当事者がその内容を確認できる状態にしておくことです。

    電子契約を導入する際には、次のような点を確認しておきましょう。

    ・建設業法第19条で求められる事項が契約内容に含まれているか

    ・契約当事者が契約内容を確認できる仕組みになっているか

    ・契約締結後に内容が改変されていないことを確認できるか

    ・契約書のデータを適切に保存・管理できるか

    ・契約変更が発生した場合にも、変更内容を記録できるか

    また、電子契約サービスを選ぶ際には、単に電子署名ができるかだけでなく、建設工事の請負契約に必要となる書面・電磁的記録の要件を満たせるかを確認することが大切です。

    電子契約は便利な方法ですが、紙の契約書を電子化すればそれだけで建設業法上の要件を満たすわけではありません。利用する仕組みと契約内容の両方を確認したうえで運用しましょう。

    電子契約を利用する際に確認したい法令上の要件

    電子契約を利用して建設工事の請負契約を締結する場合には、建設業法第19条で定められた電磁的方法に関する要件を満たす必要があります。書面の交付に代えて電磁的方法により契約内容を提供する場合には、あらかじめ相手方の承諾を得ることが必要です。また、契約内容を後から確認できるよう、法令上求められる方法で電磁的記録を提供できる状態にしておく必要があります。

    電子契約で請負契約を締結した後に、工事内容、請負代金、工期などを変更する場合には、変更後の契約内容についても適切に記録することが重要です。

    例えば、追加工事によって請負代金が増額された場合や、設計変更によって工期が延長された場合には、変更内容と変更後の契約条件が明確に分かる形で記録しておきます。変更契約を新たに締結する場合には、どの契約を変更するものなのか、変更箇所はどこなのかを明確にしておくと、後から確認しやすくなります。

    また、契約変更に伴って見積書、注文書、請書、仕様書などの関連書類も変更される場合には、それぞれの内容に矛盾が生じないよう確認しましょう。

    電子契約であっても、契約変更に関する基本的な考え方は紙の契約書と変わりません。変更内容を当事者間で確認し、契約締結時から変更に至るまでの経緯を後から確認できる状態で、契約関係の記録を適切に管理することが大切です。

    電子契約書・変更契約書を適切に保存する方法

    電子契約を利用する場合は、契約を締結することだけでなく、締結後の契約データを適切に保存・管理することも重要です。

    紙の契約書であればファイルなどで保管できますが、電子契約では契約データを適切な場所に保存し、必要なときに契約内容を確認できるようにしておく必要があります。

    特に、建設工事では契約後に追加工事や設計変更、工期変更などが発生することがあります。そのため、当初の契約書だけでなく、変更契約や関連する注文書・請書、仕様書などについても、どの契約に関係する書類なのかが分かるよう整理しておくことが大切です。

    また、契約データを保存する際には、後から内容を確認できることに加えて、必要な期間にわたって適切に管理できる体制を整えておく必要があります。

    電子契約は紙の書類を減らせる便利な方法ですが、契約データを適切に管理できなければ、いざというときに契約内容を確認できません。「締結する」だけでなく「後から確認できる状態で管理する」ことまで含めて電子契約の運用を考えることが重要です。

    紙と電子の契約書を併用するときの注意点

    建設工事の請負契約では、契約によって紙の契約書と電子契約を使い分けることもあります。その場合には、どの契約条件が適用されるのか、契約書類同士の関係を明確にしておくことが重要です。

    例えば、当初の請負契約を紙で締結した後、追加工事や設計変更について電子契約で変更契約を締結する場合があります。このような場合には、電子契約が当初契約のどの部分を変更するものなのかを明確にしておく必要があります。

    また、紙の契約書と電子契約の内容に食い違いがあると、後から契約条件について認識の違いが生じる可能性があります。そのため、契約変更を行う際には、変更前の契約内容と変更後の内容を照らし合わせ、どの条件が現在の契約内容なのかを確認できるようにしておくことが大切です。

    契約書だけでなく、見積書、注文書、請書、仕様書などを併用している場合も同様です。紙・電子という形式の違いにかかわらず、契約関係書類全体で内容に矛盾がないよう整理しましょう。

    電子契約を取り入れる場合は、紙の契約書を単純に電子化するだけではなく、契約締結から変更、保存・管理まで一連の流れを整理して運用することが重要です。

    第6章 建設業許可と請負契約書を適切に管理するために

    請負契約書の不備と建設業許可の審査を混同しない

    建設業法第19条に基づく請負契約書の作成と、建設業許可の取得・更新に関する手続は、それぞれ別のルールに基づいて行われます。

    請負契約書については、建設工事の請負契約を適正に締結するため、契約内容や法定記載事項を確認する必要があります。一方、建設業許可については、経営業務の管理責任者等や専任技術者、財産的基礎など、許可を受けるための要件を満たしているかを確認する制度です。

    そのため、請負契約書に不備があることと、建設業許可の要件を満たしていないことは、同じ問題ではありません。

    また、建設業許可を申請する際に提出する書類と、実際の工事で使用する請負契約書も、それぞれ役割が異なります。申請書類として何が必要なのか、請負契約について何を確認すべきなのかを分けて考えることが大切です。

    建設業を適切に運営するためには、契約関係のルールと許可制度のルールをそれぞれ確認し、必要な手続や書類を整理して管理することが重要です。

    兵庫県知事許可の申請手続と契約書を分けて考える

    建設業を営むための許可には、国土交通大臣許可と都道府県知事許可があります。兵庫県内に主たる営業所を置き、一定の要件に該当する場合には、兵庫県知事許可を受けることになります。

    ただし、建設業許可の申請手続と、建設工事の請負契約に関するルールは別のものです。

    建設業許可の申請では、許可を受けるための要件を満たしていることを確認するため、申請書や各種の確認資料を提出します。一方、建設工事の請負契約では、建設業法第19条に基づき、契約内容について一定の事項を明確にする必要があります。

    したがって、「兵庫県知事許可を受けている建設業者だから、請負契約書について兵庫県独自のルールが適用される」ということではありません。請負契約については建設業法などの全国共通の法令を基準に考え、許可申請については兵庫県の最新の申請手引や案内を確認するというように、それぞれを分けて考えることが大切です。

    この区別をしておくと、建設業許可の申請書類と、実際の工事で締結する請負契約書を混同することなく、それぞれに必要な対応を整理できます。

    建設業法改正に合わせて契約書式を見直す

    建設業法や関係する制度は、社会情勢や建設業を取り巻く環境の変化に応じて改正されることがあります。そのため、一度作成した請負契約書の書式を長期間そのまま使用するのではなく、現在の法令や制度に対応しているか定期的に確認することが重要です。

    特に、契約書のひな形を以前から使い続けている場合には、現在の建設業法第19条で求められている事項が適切に反映されているか確認しましょう。

    また、法改正によって契約書の記載事項や契約手続の取扱いに変更があった場合には、契約書だけでなく、注文書・請書、契約約款、社内の契約手順などもあわせて見直す必要があります。

    さらに、電子契約を利用している場合には、使用している契約サービスや社内の運用方法が改正後のルールに対応できているかについても確認しておくと安心です。

    契約書式の見直しは、法改正があったときだけ行えばよいというものではありません。定期的に現在の法令と自社の契約書式を照らし合わせ、古い内容が残っていないか確認する仕組みを作っておくことが、適正な契約管理につながります。

    請負契約書のチェックリストを作成する

    請負契約書の作成や確認を担当者ごとの経験や知識だけに任せてしまうと、記載漏れや確認漏れが発生する可能性があります。

    そこで、契約書を作成・締結する際に確認すべき事項をまとめたチェックリストを用意しておくことが有効です。

    例えば、工事内容、請負代金、工期、支払条件、設計変更が発生した場合の取扱い、違約金など、建設業法第19条に関係する事項を確認項目として整理しておきます。

    また、契約書だけでなく、注文書・請書・契約約款・見積書・仕様書などの関連書類についても、内容に矛盾がないか確認できる項目を設けておくとよいでしょう。

    チェックリストを作成する場合には、単に「契約書を確認した」という記録を残すのではなく、何を確認したのかが後から分かる形にしておくことがポイントです。

    さらに、法改正や社内の契約手順の変更があった場合には、チェックリスト自体も見直します。担当者が変わっても一定の水準で契約書を確認できる仕組みを整えておくことで、契約上のミスを防ぎやすくなります。

    判断に迷ったときは専門家・行政窓口に確認する

    建設工事の請負契約では、工事の内容や契約条件によって確認すべき事項が異なるため、すべてのケースを一律に判断できるとは限りません。

    特に、契約書の記載方法、追加工事や設計変更の取扱い、電子契約の利用方法などについて判断に迷う場合には、自己判断で処理せず、必要に応じて専門家や関係する行政機関に確認することが大切です。

    また、建設業許可に関する手続について確認したい場合と、請負契約そのものについて確認したい場合では、相談先や確認すべき制度が異なることがあります。

    例えば、兵庫県知事許可に関する申請手続については兵庫県の最新の案内を確認し、契約書の作成や法令上の具体的な判断について専門的な確認が必要な場合には、行政書士や弁護士などの専門家への相談を検討するとよいでしょう。

    重要なのは、「兵庫県の建設業者だから兵庫県独自の契約ルールがある」と考えるのではなく、全国共通の法令と、兵庫県が担当する許可申請などの手続を分けて確認することです。

    契約内容に少しでも不明な点がある場合は、契約を締結してから問題になるのを防ぐためにも、できるだけ契約前に確認しておきましょう。

    建設業法第19条第1項 契約書面の法定記載事項チェックリスト

    No. 法定記載事項 確認
    1 工事内容  
    2 請負代金の額  
    3 工事着手の時期及び工事完成の時期  
    4 工事を施工しない日又は時間帯を定める場合は、その内容  
    5 前金払又は出来高払を定める場合は、その時期及び方法  
    6 当事者の一方から工期の変更、請負代金の変更又は損害の負担について申出があった場合における、変更の方法及びそれらの額の算定方法  
    7 天災その他の不可抗力による工期の変更又は損害の負担及びその額の算定方法  
    8 価格等の変動又は変更に基づく請負代金の額又は工事内容の変更  
    9 工事の施工により第三者が損害を受けた場合における賠償金の負担  
    10 注文者が工事に使用する資材を提供し、又は建設機械その他の機械を貸与する場合は、その内容及び方法  
    11 注文者が工事の全部又は一部の完成を確認するための検査の時期及び方法並びに引渡しの時期  
    12 工事完成後における請負代金の支払の時期及び方法  
    13 工事目的物の契約不適合を担保すべき責任又はその責任の履行に関して講ずべき保証保険契約の締結その他の措置を定める場合は、その内容  
    14 各当事者の履行の遅滞その他債務の不履行の場合における遅延利息、違約金その他の損害金  
    15 契約に関する紛争の解決方法  
    16 その他国土交通省令で定める事項  

    国土交通省の資料でも、これら16項目が建設業法第19条第1項に基づく記載事項として示されています。

    ※契約内容に応じて「定めをするとき」に記載が必要となる事項があります。また、第16号については、現時点で国土交通省令に定められている具体的事項はありません。

    建設業許可手続きセンター (行政書士こうべ元町事務所)

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