行政書士こうべ元町事務所

「専任技術者(専任)の要件を徹底解説!実務経験10年を証明するための注意点とは?」

お問い合わせはこちら

「専任技術者(専任)の要件を徹底解説!実務経験10年を証明するための注意点とは?」

「専任技術者(専任)の要件を徹底解説!実務経験10年を証明するための注意点とは?」

2026/08/31

建設業許可を取得するためには、営業所ごとに一定の要件を満たす「営業所技術者等」を置く必要があります。

営業所技術者等になる方法として、国家資格などを取得する方法がありますが、資格を持っていなくても、許可を受けようとする建設工事について一定期間の実務経験があれば、要件を満たせる場合があります。

その代表的なものが、「10年以上の実務経験」による証明です。

建設業界では、「資格は持っていないものの、現場経験なら10年以上ある」という方も少なくありません。そのため、実務経験によって営業所技術者等の要件を満たせる制度は、資格を持たない経験者を活用するうえで重要な選択肢となります。

しかし、単に建設会社に10年以上勤務していれば認められるわけではありません。

許可を取得しようとする業種について実務経験があるのか、その経験を必要な資料によって証明できるのかなど、申請前に確認しておかなければならない点があります。

特に過去に勤務していた会社での経験を使用する場合や、複数の会社での経験を合算する場合、複数業種の許可取得を考えている場合などは、経験年数だけを見て「10年以上あるから大丈夫」と判断すると、実際の申請段階で要件を満たせないこともあります。

本コラムでは、資格を持たない方が実務経験によって営業所技術者等の要件を満たす場合を中心に、実務経験10年の考え方、証明方法、経験年数を計算する際の注意点、証明が難しい場合の対応などについて解説します。

なお、「営業所技術者等」は、従来「営業所の専任技術者」と呼ばれていたもので、現在でも「専技」と略されることが多くあります。当事務所では以前から「専任」と称しているため、本コラムでも、以下「専任」と表記します。

建設業許可手続きセンター (行政書士こうべ元町事務所)

建設業許可手続きセンター (行政書士こうべ元町事務所)

該当ガイドラインを熟知した行政書士が、全国の建設業を営む皆様のご相談を受け付けています。建設業許可の申請や業種追加など、円滑な業務を支えるための複雑な手続きをサポートする事務所を兵庫に構えています。

〒650-0012
兵庫県神戸市中央区北長狭通4-3-8 N.Rビル 5階

078-332-3911

目次

    第1章 専任技術者(営業所技術者等)の要件と「実務経験10年」の基本

    建設業許可で必要となる「営業所技術者等」(専任)とは

    建設業許可を受けるためには、営業所ごとに、その営業所で営業する建設業について一定の技術的要件を満たす「営業所技術者等」(専任)を置かなければなりません。

    一般建設業許可の場合は「営業所技術者」、特定建設業許可の場合は「特定営業所技術者」と呼ばれ、建設業許可を取得・維持するための重要な要件の一つとなっています。

    営業所技術者等は、営業所に常勤して、請負契約の締結やその履行について技術的な面から支える役割を担います。そのため、単に要件を満たす資格や実務経験を持っている人が会社に在籍していればよいわけではなく、原則としてその営業所に常勤していることが必要です。

    また、営業所で複数の業種について建設業許可を受ける場合、一人の営業所技術者等がそれぞれの業種について要件を満たしていれば、複数業種の専任を兼ねることもできます。

    専任になるための要件は、保有している資格や学歴、実務経験などによって異なります。国家資格を持っていなくても、一定の実務経験によって要件を満たせる場合があり、その代表的な方法が「10年以上の実務経験」によるものです。

    次項から、専任になるためにはどのような方法があるのかを具体的に見ていきます。

    営業所技術者等になるための3つの基本ルート

    一般建設業許可における営業所技術者等(専任)になるための要件は、大きく分けると、資格、学歴+実務経験、10年以上の実務経験という3つのルートがあります。

    まず、許可を受けようとする建設業の種類に応じた国家資格等を持っている場合です。例えば、施工管理技士や建築士、技能士など、資格によって専任になることができる建設業の種類が定められています。

    次に、指定学科を卒業したうえで、一定期間の実務経験を有している場合です。大学や高等専門学校などの指定学科を卒業した場合は卒業後3年以上、高等学校などの指定学科を卒業した場合は卒業後5年以上の実務経験を有することで、要件を満たせる場合があります。

    そして、資格や指定学科の学歴がない場合でも、許可を受けようとする建設工事について10年以上の実務経験があれば、専任の要件を満たすことができます。

    そのため、「資格を持っていないから専任にはなれない」というわけではありません。長年建設工事に携わってきた方であれば、これまでの実務経験を利用できる可能性があります。

    ただし、10年以上建設業界で働いていたというだけで要件を満たすわけではありません。どのような工事について実務経験を積んできたのか、また、その経験を申請時に証明できるのかが重要になります。

    次項では、資格を持っていない方が実務経験によって専任の要件を満たす場合について、もう少し詳しく解説します。

    資格がなくても実務経験で要件を満たせる

    建設業許可では、資格を持っていない方であっても、許可を受けようとする建設工事について10年以上の実務経験があれば、営業所技術者等(専任)の要件を満たすことができます。

    例えば、長年にわたって内装仕上工事に携わってきたものの、専任の要件を満たす資格を取得していない方でも、内装仕上工事について10年以上の実務経験があり、その経験を証明することができれば、実務経験によって専任となることが可能です。

    この制度は、資格の有無だけではなく、実際に建設工事に携わってきた経験を評価するものです。そのため、資格を持つ人材が社内にいない場合でも、長年現場で経験を積んできた従業員や役員が専任の候補となることがあります。

    ただし、重要なのは「10年以上働いていたこと」ではなく、「許可を受けようとする建設工事について10年以上の実務経験があること」です。

    建設会社に10年以上勤務していても、その期間に担当していた工事が申請する業種とは異なる場合には、そのまま10年の実務経験として認められるわけではありません。

    また、実際に10年以上の経験があったとしても、申請時にはその経験を裏付ける必要があります。古い工事の資料が残っていないなどの理由から、経験は十分にあるのに証明ができず、実務経験による申請が難しくなることもあります。

    そのため、実務経験によって専任の要件を満たそうとする場合には、「何年働いていたか」だけではなく、「どの業種の工事を経験していたか」「その経験を証明できるか」という二つの点を確認することが重要です。

    「10年以上の実務経験」として認められる経験とは

    営業所技術者等(専任)の要件となる「実務経験」とは、建設工事の施工に関する技術上のすべての職務経験をいいます。

    ここでいう実務経験は、現場監督や工事の管理責任者として働いた経験だけに限られるものではありません。建設工事の施工に直接携わった経験も含まれるため、実際に現場で施工に従事してきた方についても、その工事内容によっては実務経験として認められます。

    さらに、実務経験として認められるのは、建設工事の請負業者として施工に携わった経験だけではありません。発注者側で設計や施工監理等に従事した経験や、設計会社等で建設工事の施工に関する技術上の業務に従事した経験なども含まれる場合があります。

    ただし、実際の申請では請負業者としての経験を使用するケースが多く、発注者や設計会社での経験を使用するケースはそれほど多くありません。具体的にどのような業務に従事していたのかによって実務経験に該当するかを判断する必要があります。

    一方、建設会社に勤務していたとしても、建設工事の施工に関係しない業務まで実務経験になるわけではありません。例えば、単なる事務や営業など、建設工事の施工に関する技術上の経験とはいえない業務に従事していた期間については、原則として実務経験には含まれません。

    そして、実務経験は、許可を受けようとする建設業の種類ごとに判断されます。

    例えば、内装仕上工事業の専任になるために10年の実務経験を使用するのであれば、原則として内装仕上工事に該当する工事についての経験が必要です。建設業界でさまざまな工事を経験してきたとしても、そのすべてを内装仕上工事の実務経験として計算できるわけではありません。

    そのため、10年以上の実務経験があるかを確認するときは、単に勤続年数や現場経験の年数を見るのではなく、実際にどのような立場で、どのような建設工事に携わってきたのかを確認することが重要です。

    実務経験による申請では、この「どの工事について、どのような業務を経験してきたのか」が、後にその経験を証明できるかどうかにも大きく関係してきます。

    実務経験10年が必要とは限らない―学歴や資格による期間短縮

    資格を持っていない方が実務経験によって営業所技術者等(専任)の要件を満たす場合でも、必ず10年以上の実務経験が必要になるわけではありません。

    まず、許可を受けようとする建設業に対応した指定学科を卒業している場合には、必要となる実務経験の期間が短縮されます。

    具体的には、大学または高等専門学校の指定学科を卒業した場合は卒業後3年以上、高等学校または中等教育学校の指定学科を卒業した場合は卒業後5年以上の実務経験によって、専任の要件を満たすことができます。

    指定学科は、取得しようとする建設業の種類によって異なります。例えば、機械器具設置工事業の場合には、建築学、機械工学または電気工学に関する学科が指定学科とされています。

    さらに、現在では一定の施工管理技士・施工管理技士補について、指定学科を卒業した者と同様に取り扱う制度が設けられています。

    一定の施工管理技術検定の第一次検定または第二次検定に合格した者について、1級の合格者は大学の指定学科を卒業した者と同様に、合格後3年以上、2級の合格者は高等学校の指定学科を卒業した者と同様に、合格後5年以上の実務経験を有することで、一定の建設業について専任の要件を満たすことができます。

    例えば、機械器具設置工事業については、建築施工管理、電気工事施工管理または管工事施工管理の検定に合格することで、この制度を利用できる場合があります。

    そのため、機械器具設置工事について10年の実務経験を証明することが難しい場合でも、対象となる施工管理技術検定に合格していれば、合格後の実務経験を利用して要件を満たせる可能性があります。

    これは、実務経験によって専任を確保しようとする会社にとって重要な制度です。特に、将来的な業種追加を考えている場合には、10年間の実務経験を積むことだけを考えるのではなく、施工管理技士補以上の資格取得と、その後の実務経験を計画的に組み合わせることも選択肢となります。

    専任の要件を検討するときは、最初から「10年をどう証明するか」と考えるのではなく、本人の学歴や保有資格、施工管理技術検定の合格歴まで確認したうえで、どのルートが最も適しているかを検討することが重要です。

    第2章 実務経験10年はどのように証明するのか

    実務経験は自己申告だけでは認められない

    10年以上にわたって実際に建設工事に携わってきたとしても、「本人が10年以上経験していると言っている」というだけで、営業所技術者等(専任)の実務経験が認められるわけではありません。

    建設業許可の申請では、実務経験証明書に経験した工事の内容や期間などを記載するとともに、その実務経験が実際にあったことを確認できる資料が必要となります。

    ここで注意したいのが、「実際に10年以上の経験があること」と「その10年以上の経験を証明できること」は別であるという点です。

    例えば、同じ会社で15年間にわたって内装仕上工事に従事してきた方であれば、実際の経験年数としては十分に10年を超えています。しかし、過去の工事に関する資料が残っておらず、必要な期間について内装仕上工事を行っていたことを確認できなければ、実務経験による専任の証明が難しくなることがあります。

    特に10年という長期間を証明する場合には、会社の移転や担当者の交代、書類の保存期間などによって、古い契約書や注文書などがすでに処分されていることも珍しくありません。

    そのため、実務経験によって専任の要件を満たそうとする場合には、まず「経験年数が10年以上あるか」を確認するだけではなく、その期間について申請に使用できる裏付け資料が残っているかまで確認することが重要です。

    当事務所でも、実務経験による専任の可能性を検討する場合には、単純に勤続年数だけを見るのではなく、どの期間について、どの業種の工事を、どのような資料で証明できるのかを整理していくことになります。

    10年以上の経験があるから大丈夫だと思って申請準備を進めたものの、後から証明資料が不足していることが分かると、専任の選定そのものを見直さなければならない場合もあります。実務経験を利用する場合には、申請書を作成する前に「10年を証明できるか」を確認しておくことが大切です。

    「経験した工事」と「在籍していたこと」は別々に確認される

    実務経験によって営業所技術者等(専任)の要件を証明する場合には、大きく分けて二つのことを確認する必要があります。

    一つは、証明しようとする期間に、取得したい建設業に該当する工事を実際に行っていたことです。

    例えば、内装仕上工事業について10年の実務経験を証明するのであれば、その期間に内装仕上工事に該当する工事を行っていたことが分かる資料が必要になります。契約書、注文書、請求書などから工事内容を確認し、その工事が申請する業種の実務経験として使用できるものかを判断していきます。

    もう一つが、その工事を行っていた会社に、実務経験を証明する本人が在籍していたことです。

    会社に内装仕上工事の実績が10年間あったとしても、それだけでは本人がその10年間在籍し、実務に携わっていたことまでは分かりません。そのため、工事実績の確認とは別に、本人の在籍期間についても証明する必要があります。

    兵庫県では、過去の在籍期間について、社会保険等の加入記録によって確認することが多く、社会保険等の記録だけでは確認できない場合には、賃金台帳と源泉徴収に関する資料などを組み合わせて在籍を確認することもあります。

    つまり、実務経験の証明では、

    「その会社が対象となる建設工事を行っていたこと」

    と、

    「その期間に本人がその会社に在籍していたこと」

    の両方を証明する必要があります。

    例えば、10年以上勤務していたことを社会保険等の記録で証明できたとしても、対象業種の工事を行っていたことを証明できなければ、10年の実務経験を証明したことにはなりません。

    反対に、会社に10年以上の工事資料が残っていたとしても、本人がその期間に在籍していたことを確認できなければ、そのすべてを本人の実務経験として使用することはできません。

    そのため、実務経験10年を検討するときは、まず「工事内容を証明する資料」と「本人の在籍期間を証明する資料」の二つに分けて確認すると、どの期間まで実務経験として証明できるのかを整理しやすくなります。

    自社での実務経験を証明する場合の考え方

    現在勤務している会社や、自ら経営している会社で積んだ経験を使って、営業所技術者等(専任)の実務経験を証明するケースは多くあります。

    この場合も基本的な考え方は同じで、証明しようとする期間について、会社が許可を受けようとする業種に該当する工事を行っていたことと、本人がその期間に会社に在籍していたことの両方を確認します。

    会社がすでに該当する業種の建設業許可を受けていた期間については、その許可の状況を確認することで、実務経験を証明しやすくなる場合があります。

    一方、建設業許可を受けていない期間の経験を使用する場合には、その期間に実際に対象となる建設工事を請け負っていたことを、契約書、注文書、請求書などの資料から確認していくことになります。

    ここで注意したいのが、無許可で工事を行っていた期間を実務経験として使用する場合です。

    建設業許可を受けていない会社であっても、軽微な建設工事のみを請け負って営業することはできます。そのため、無許可期間の工事経験だからという理由だけで、実務経験として使用できないわけではありません。

    ただし、その期間に建設業許可が必要となる金額の工事を無許可で請け負っていた場合には、建設業法違反の問題が生じます。実務経験を証明するための資料が、逆に無許可営業を示す資料となる可能性もあるため、工事金額についても確認が必要です。

    また、自社での経験は資料を集めやすいように思えますが、10年前の契約書や注文書などが現在も残っているとは限りません。特に、許可取得を予定せずに長年営業してきた会社では、実務経験を証明しようとした段階で古い工事資料が残っていないこともあります。

    そのため、自社で10年以上工事を行ってきたという事実だけで判断するのではなく、どの期間について、どの業種の工事を、どの資料によって証明できるのかを確認することが重要です。

    以前勤務していた会社での経験を証明する場合の考え方

    現在の会社だけでは必要な実務経験年数に足りない場合、以前勤務していた会社での経験を加えて、営業所技術者等(専任)の要件を証明することがあります。

    例えば、現在の会社で内装仕上工事を4年間、前職で同じく内装仕上工事を6年間経験している場合、それぞれの実務経験を証明することができれば、通算して10年間の実務経験とすることができます。

    ただし、以前勤務していた会社での経験を使用する場合には、現在の会社での経験と比べて資料の収集が難しくなることがあります。

    前職での経験についても、基本的には、その会社が対象となる建設工事を行っていたことと、その期間に本人が在籍していたことの両方を確認していくことになります。

    特に問題になりやすいのが、過去の工事を確認するための資料です。退職してから長期間が経過している場合には、契約書や注文書などがすでに保存されていなかったり、本人の手元には資料がなく、以前勤務していた会社に協力してもらわなければ確認できなかったりすることがあります。

    また、以前の勤務先が廃業している場合や、会社は存続していても証明への協力を得られない場合もあります。

    そのため、前職での経験を利用する場合には、「以前の会社で○年間働いていた」という経歴だけで判断するのではなく、その会社で何の工事を経験していたのか、その工事と在籍期間を現在でも証明できるのかを確認することが重要です。

    前職を含めれば10年以上の経験があるという場合でも、実際に証明できる期間を整理すると10年に届かないことがあります。以前勤務していた会社での経験を利用する場合には、申請準備の早い段階で証明可能な期間を確認しておく必要があります。

    複数の会社での経験を合算して10年を証明する場合

    実務経験10年は、必ずしも一つの会社だけで満たす必要はありません。複数の会社で積んだ実務経験を合算して、営業所技術者等(専任)の要件を満たすこともできます。

    例えば、A社で3年間、B社で4年間、現在のC社で3年間、同じ業種の建設工事について実務経験がある場合、それぞれの会社での経験を証明することができれば、合計10年間の実務経験として申請することができます。

    この場合に重要なのは、単純に勤務年数を合計するのではなく、それぞれの会社について対象業種の実務経験を証明できる期間を積み上げていくという考え方です。

    A社に5年間在籍していても、そのうち対象となる工事について証明できる期間が3年間であれば、使用できる実務経験は原則としてその3年間となります。同様に、B社、C社についても、対象となる工事と在籍期間を確認しながら、証明できる期間を整理していきます。

    複数の会社での経験を使用する場合には、会社ごとに工事内容や在籍期間を確認する必要があるため、勤務先が多くなるほど証明資料の収集も複雑になります。

    特に古い勤務先については、会社がすでに廃業している、当時の工事資料が残っていない、会社から証明への協力を得られないといった理由により、実際には経験していても、その期間を使用できないことがあります。

    そのため、「A社3年+B社4年+C社3年=10年」と勤務歴だけで計算するのではなく、それぞれの会社について何年分の実務経験を実際に証明できるのかを確認したうえで合算することが重要です。

    転職回数が多い方や、かなり以前の勤務先での経験を含めて10年を満たそうとする場合には、申請直前になって資料を集めるのではなく、早い段階で各勤務先の証明可能な期間を整理しておくことをおすすめします。

    第3章 実務経験を証明する際に特に注意したいポイント

    会社に10年在籍していても実務経験10年とは限らない

    実務経験10年を検討する際に、まず注意したいのが、会社での在籍期間と実務経験の期間は必ずしも一致しないという点です。

    例えば、建設会社に15年間勤務している方であっても、その15年間すべてを、取得しようとする建設業の実務経験として使用できるとは限りません。

    実務経験として必要なのは、あくまで許可を受けようとする建設業について、建設工事の施工に関する技術上の職務に従事していた期間です。

    そのため、入社後の数年間は営業や経理など建設工事の施工に関する技術上の職務に携わっておらず、その後に現場での業務に従事するようになった場合には、単純に入社時からの在籍期間をすべて実務経験として計算することはできません。

    さらに、建設工事に携わっていたとしても、どの業種の実務経験であるかを確認する必要があります。

    例えば、同じ会社に10年間勤務していて、その間に電気工事、管工事、機械器具設置工事など複数の業種の工事に携わっていた場合でも、10年間の在籍期間がそのまま機械器具設置工事10年の実務経験になるわけではありません。機械器具設置工事業の専任として申請するのであれば、機械器具設置工事について実務経験として認められる期間を確認する必要があります。

    このように、実務経験10年を判断するときは、「建設会社に何年勤務していたか」ではなく、「取得したい業種について何年の実務経験があるか」という視点で整理することが重要です。

    勤続年数だけを見れば10年を超えていても、実際に対象業種について整理すると10年に届かないケースがあります。専任の候補者を選ぶ際には、在籍期間だけで判断せず、担当してきた工事の内容とその期間まで確認しておきましょう。

    取得したい許可業種に該当する工事経験が必要

    実務経験によって営業所技術者等(専任)の要件を満たすためには、単に建設工事に長年携わっていればよいわけではありません。取得しようとする建設業について、必要な実務経験を有していることが必要です。

    例えば、電気工事業の専任になるのであれば電気工事について、管工事業であれば管工事について、それぞれ実務経験を確認していくことになります。

    ここで注意したいのが、一つの工事の中に複数の業種に関係する作業が含まれている場合です。

    例えば、会社が機械器具設置工事として受注し、決算変更届においても機械器具設置工事として記載している工事について、工事の一部で電気配線を行っていたことを理由に、その工事を電気工事の実務経験として使用することは原則としてできません。

    建設工事では、一つの工事の中に複数の業種に関係する作業が含まれることは珍しくありません。しかし、その工事の一部分だけを取り出して、別の建設業の工事実績として扱えるとは限らないため注意が必要です。

    特に、実務経験10年を証明するために過去の工事を整理するときは、「この工事では電気も触っていた」「配管も行っていた」といった実際の作業内容だけで判断するのではなく、その工事が建設業法上どの業種の工事として請け負われたものなのかを確認することが重要です。

    また、過去に建設業許可を受けており、決算変更届で工事経歴書を提出している場合には、そこでどの業種の工事として記載してきたのかとの整合性にも注意する必要があります。

    実務経験を証明する際には、工事の名称だけではなく、契約内容や工事内容、これまでの許可申請や決算変更届での取扱いなども確認したうえで、取得したい許可業種の実務経験として使用できるかを判断していく必要があります。

    同じ期間を複数業種の実務経験として重複できない

    複数の建設業について実務経験による営業所技術者等(専任)の要件を満たそうとする場合には、同じ期間を複数業種の実務経験として重複して使用することはできない点に注意が必要です。

    例えば、ある1年間に大工工事と内装仕上工事の両方を行っていたとしても、その1年間を「大工工事1年」と「内装仕上工事1年」の双方に実務経験として計上することはできません。

    大工工事の実務経験として1年間を使用したのであれば、同じ期間を内装仕上工事の実務経験として重ねて使用することはできないため、それぞれの業種について必要な経験期間を確保する必要があります。

    そのため、実務経験10年だけで複数業種の専任の要件を満たそうとすると、非常に長い実務経験が必要になる場合があります。

    例えば、大工工事業と内装仕上工事業の双方について、それぞれ10年以上の実務経験によって要件を満たそうとする場合、同じ期間を重複して使用できないため、原則として合計20年以上の実務経験が必要になります。

    これは、会社として将来の業種追加を考える場合にも重要なポイントです。

    「この社員は20年間建設会社で働いており、その間に大工工事も内装仕上工事も経験しているから、両方とも10年実務で申請できる」とは限りません。どの期間をどの業種の実務経験として使用するのかを整理する必要があります。

    また、前項で説明したように、一つの工事に複数業種に関係する作業が含まれているからといって、その工事を複数業種の実務経験として使用できるわけでもありません。

    複数業種の許可取得を予定している場合には、単純な勤続年数ではなく、業種ごとに何年間の実務経験を確保できているのかを整理しておくことが重要です。

    特に実務経験だけで複数業種の専任を確保しようとすると必要な期間が長くなりやすいため、指定学科や施工管理技術検定、その他の国家資格等による要件充足ができないかについても併せて検討するとよいでしょう。

    「一式工事」と「専門工事」の経験を混同しない

    実務経験を整理する際には、土木一式工事・建築一式工事と、それぞれの専門工事を混同しないことも重要です。

    建設業法上、建設工事は29業種に区分されており、土木一式工事や建築一式工事と、大工工事、屋根工事、内装仕上工事、管工事などの専門工事は、それぞれ別の業種として扱われます。

    例えば、建築一式工事には、大工工事や内装仕上工事、屋根工事などさまざまな専門工事が含まれることがあります。

    しかし、建築一式工事の実務経験が10年あるからといって、その経験をそのまま内装仕上工事や大工工事などの実務経験10年として使用できるわけではありません。

    反対に、内装仕上工事や大工工事などの専門工事を長年経験しているからといって、それだけで建築一式工事の実務経験になるわけでもありません。

    特に注意したいのが、「住宅を一棟建てる工事に長年携わってきたから、建築関係の業種であればどれでも実務経験がある」と考えてしまうケースです。

    実務経験によって専任の要件を満たす場合には、実際に行ってきた工事について、建築一式工事としての経験なのか、それとも大工工事や内装仕上工事などの専門工事としての経験なのかを区別して整理する必要があります。

    過去に建設業許可を受けていた会社での経験を使用する場合には、当時どの業種の許可を受けていたのか、工事経歴書でどの業種の工事として記載していたのかなども確認材料となります。

    「建築工事を10年以上やっている」というだけでは、どの建設業の実務経験として使用できるのかは判断できません。実務経験10年を証明するときは、一式工事と専門工事を分けたうえで、取得しようとする業種に対応する経験があるかを確認することが重要です。

    ただし、実務経験の取扱いには一定の特例もあります。

    例えば、複数業種に係る実務経験を有している場合には、一定の組み合わせについて必要な実務経験期間が短縮される特例があります。

    建築一式工事と大工工事の実務経験を合わせて12年以上有しており、そのうち大工工事について8年以上の実務経験がある場合には、大工工事について10年に満たなくても、実務経験の要件を満たすことができます。

    このほか、解体工事業が新設された際の経過措置として、平成28年5月31日以前のとび・土工工事業に係る実務経験のうち解体工事に係る経験については、とび・土工工事業と解体工事業の双方の実務経験として取り扱うことができるなど、通常とは異なる取扱いが認められる場合もあります。

    このように、実務経験は原則として業種ごとに考えますが、一定の業種の組み合わせや制度改正に伴う経過措置によって例外的な取扱いが認められることがあります。そのため、10年に少し足りない場合や複数業種の経験がある場合には、単純に「実務経験が不足している」と判断するのではなく、利用できる特例がないか確認してみることも重要です。

    経験期間に空白がある場合は通算して考える

    実務経験10年というと、「同じ会社で連続して10年間働いていなければならない」と考えられることがありますが、実務経験は必ずしも連続している必要はありません。

    途中に実務経験として算入できない期間があったとしても、対象となる建設業について実務経験として認められる期間を通算して、必要な年数を満たせば要件を満たすことができます。

    例えば、内装仕上工事について5年間の実務経験を積んだ後、別の仕事に3年間従事し、その後再び内装仕上工事について5年間の実務経験を積んだ場合には、途中の3年間を除き、前後の5年間ずつを合計して10年間の実務経験として考えることができます。

    転職によって勤務先が変わっている場合も同様です。A社で4年間、B社で別の仕事を2年間、その後C社で6年間、対象となる建設工事について実務経験があるのであれば、A社とC社の経験を合算して10年間とすることができます。

    ただし、通算できるのは、あくまで取得しようとする業種について実務経験として認められ、かつ証明することができる期間です。

    途中に営業職など建設工事の施工に関する技術上の職務に従事していない期間があれば、その期間を除いて計算する必要があります。また、別の建設業の工事に従事していた期間についても、当然に取得しようとする業種の実務経験として算入できるわけではありません。

    実務経験に空白期間がある場合には、無理に連続した10年間を探すのではなく、これまでの職歴と工事経験を時系列に並べ、どの期間が対象業種の実務経験として使用できるのかを区切って整理し、合計することが重要です。

    転職回数が多い場合や、一度建設業界を離れて再び戻ってきた場合でも、それだけで実務経験による専任の要件を満たせなくなるわけではありません。過去の経験を含めて、証明可能な期間が合計何年になるのかを確認してみましょう。

    第4章 実務経験10年の証明資料が揃わない場合はどうする?

    まずは「経験がない」のか「証明できない」のかを切り分ける

    実務経験10年によって営業所技術者等(専任)の要件を満たそうとしたものの、必要な資料が揃わない場合には、まず**「そもそも必要な実務経験がない」のか、「実務経験はあるものの、それを証明する資料がない」のか**を切り分けて考える必要があります。

    この二つは似ているようで、対応方法が大きく異なります。

    例えば、内装仕上工事の経験が実際には7年しかないのであれば、原則として10年の実務経験による要件を満たすことはできません。この場合には、さらに経験を積むほか、指定学科卒業による期間短縮や、資格取得など別の方法で専任の要件を満たせないかを検討することになります。

    一方、実際には内装仕上工事を15年間行っているものの、10年以上前の契約書や注文書などが残っておらず、現在確認できる資料では8年分しか証明できないというケースもあります。

    この場合、実際の経験そのものは10年を超えていますが、実務経験によって申請するためには、必要な期間についてその経験を裏付けることができるかを検討しなければなりません。

    ここで、「実際に工事をしていたのだから何とかなるだろう」と考えて、裏付けのない期間まで実務経験証明書に記載して申請することは避けなければなりません。

    まず手元に残っている資料を確認し、どの業種について、いつからいつまでの期間を証明できるのかを整理することが重要です。そのうえで不足する期間があれば、過去の資料を改めて探すのか、以前の勤務先での経験を利用するのか、学歴や資格による別のルートを検討するのかを判断していきます。

    実務経験10年の証明で困ったときには、いきなり「証明できないから許可は取れない」と判断するのではなく、まず実際の経験年数と現在証明できる年数を分けて整理することが、解決方法を探す第一歩となります。

    過去の契約書や注文書などが残っていない場合

    10年という長期間の実務経験を証明しようとすると、古い契約書や注文書などがすでに残っていないことがあります。

    特に、これまで建設業許可を必要としない軽微な建設工事だけを行ってきた会社では、将来の許可取得を想定して10年以上前の工事資料まで整理して保存しているとは限りません。

    このような場合には、まず社内に残っている資料を改めて確認し、どの期間まで対象業種の工事を証明できるのかを整理します。

    契約書や注文書が見つからないからといって、直ちに実務経験の証明が不可能になるとは限りません。請求書など、実際に行った工事の内容や期間を確認できる資料が残っていないかも確認してみましょう。

    ただし、何を確認資料として使用できるかは申請先の取扱いによるため、「契約書がなければ、この資料を出せば必ず代わりになる」と一律に考えることはできません。

    また、単に入金があったことが分かるだけの資料や、「工事代」などとしか記載されておらず具体的な工事内容が分からない資料では、取得しようとする業種の実務経験を確認できない場合があります。

    重要なのは、その資料から「いつ、どのような建設工事を行ったのか」が確認できるかという点です。

    資料を探しても10年分すべてを確認できない場合には、証明できない期間を無理に実務経験として使用するのではなく、まず確実に証明できる期間が何年あるのかを整理します。

    そのうえで、学歴や施工管理技術検定の合格による実務経験期間の短縮を利用できないか、他の勤務先での経験を加算できないか、あるいは資格取得によって専任の要件を満たせないかなど、別の方法を検討することになります。

    実務経験の証明では、「実際には10年以上工事をしていた」という事実だけではなく、それを申請上どこまで裏付けることができるかが重要です。古い資料が残っていない場合には、まず利用できる資料と証明可能な期間を整理するところから始めましょう。

    以前勤務していた会社に証明を依頼できない場合

    以前勤務していた会社での実務経験を使おうとしても、退職した会社から証明への協力を得られないことがあります。

    例えば、退職から長期間が経過している、以前の勤務先との関係が良くない、担当者が変わって当時の事情を知る人がいないといったケースです。また、勤務していた会社そのものがすでに廃業していることもあります。

    このような場合に注意したいのは、「本人が間違いなくそこで働いていた」ということを証明できれば、それだけで実務経験として認められるわけではないという点です。

    前述したとおり、実務経験の証明では、本人がその会社に在籍していたことだけでなく、その会社が証明しようとする期間に、取得したい業種に該当する建設工事を行っていたことについても確認する必要があります。

    そのため、社会保険等の加入記録などから過去の在籍期間を確認できたとしても、当時の工事内容を確認できなければ、実務経験の証明が難しくなることがあります。

    以前の勤務先から協力を得られない場合には、まず本人の手元に当時の資料が残っていないかを確認するとともに、過去の建設業許可の状況など、実務経験を確認するために利用できる資料がないかを整理していくことになります。

    会社が廃業している場合についても、「廃業しているから絶対に証明できない」、反対に「本人の申告だけで証明できる」と一律に判断することはできません。どのような資料が残っているのかによって、証明できる範囲は変わってきます。

    特に10年の実務経験の大部分を以前の勤務先での経験に頼っている場合、その期間を証明できるかどうかによって、専任の要件を満たせるかが大きく変わります。

    前職での経験を利用する必要がある場合には、申請直前になって証明を依頼するのではなく、できるだけ早い段階で、以前の勤務先から協力を得られるのか、必要な資料を確保できるのかを確認しておくことが重要です。

    もし前職での経験を十分に証明できない場合には、その期間を無理に使用するのではなく、現在の会社での経験や他の勤務先での経験、学歴による期間短縮、施工管理技術検定の合格、資格取得など、別の方法で専任の要件を満たせないかを検討することになります。

    10年すべてを証明できない場合に検討できる方法

    実際には10年以上の実務経験があっても、残っている資料では7年や8年程度しか証明できないということがあります。

    このような場合でも、すぐに「実務経験が10年に足りないから専任になれない」と判断するのではなく、ほかの要件と組み合わせることで必要な実務経験期間を短縮できないかを確認してみましょう。

    まず確認したいのが学歴です。

    許可を受けようとする建設業について指定された学科を卒業している場合には、大学・高等専門学校卒業後3年以上、高等学校・中等教育学校卒業後5年以上の実務経験によって要件を満たせる場合があります。

    この場合、10年分の実務経験を証明する必要はありません。そのため、8年分しか工事資料が残っていない場合でも、指定学科卒業による短縮を利用できれば、必要な実務経験を証明できる可能性があります。

    次に確認したいのが、施工管理技術検定の合格歴です。

    前述したとおり、現在では一定の施工管理技術検定の合格者について、指定学科卒業者と同様に実務経験期間を短縮できる制度があります。1級の第一次検定等の合格者は大学の指定学科卒業者と同様に合格後3年以上、2級については高等学校の指定学科卒業者と同様に合格後5年以上の実務経験で、一定の建設業について要件を満たせる場合があります。

    そのため、10年間すべての資料が残っていなくても、施工管理技士補等の資格を取得してからの期間について必要な実務経験を証明できれば、10年実務に頼らず専任になれる可能性があります。

    また、一つの会社だけで10年を証明する必要はありません。現在の会社で証明できる期間が不足しているのであれば、以前勤務していた会社など、別の会社での実務経験を合算できないかも確認します。

    さらに、一定の業種の組み合わせについては、複数業種に係る実務経験によって必要な期間を短縮できる特例があります。10年にわずかに届かない場合でも、これまで経験してきた他の業種まで含めて確認すると、特例を利用できることがあります。

    このほか、すでに取得している国家資格等によって、実務経験を証明することなく専任の要件を満たせる可能性もあります。

    このように、10年分の証明資料が揃わない場合には、

    「あと何年分の資料を探せばよいか」だけではなく、「そもそも10年を証明する必要があるのか」

    という視点から確認することが重要です。

    学歴、保有資格、施工管理技術検定の合格歴、過去の勤務先、他業種での実務経験などを一度整理し、最も証明しやすい方法で専任の要件を満たせないかを検討してみましょう。

    実務経験で難しければ資格取得という選択肢もある

    実務経験10年の証明が難しい場合には、過去の資料を探し続けるだけでなく、資格を取得して営業所技術者等(専任)の要件を満たすことも検討してみましょう。

    建設業の種類によっては、施工管理技士や建築士、技能士などの資格を取得することで、10年間の実務経験を証明することなく専任になることができます。

    実務経験による証明は、実際に十分な経験があったとしても、過去の契約書や注文書が残っていない、以前の勤務先から協力を得られないなど、本人や現在の会社だけでは解決できない事情によって難しくなることがあります。

    これに対して、資格によって専任の要件を満たすことができれば、過去10年間の工事実績や在籍期間をさかのぼって証明する必要がなくなるため、将来の許可申請や業種追加の際にも要件を確認しやすくなります。

    もちろん、資格を取得すればすぐにすべての建設業の専任になれるわけではありません。資格ごとに対応する建設業が定められており、資格によっては取得後に一定の実務経験が必要となる場合もあります。

    特に、直接対応する資格が限られている業種については、第1章で説明した施工管理技術検定の合格による実務経験期間の短縮も重要です。

    例えば、10年の実務経験を証明することが難しくても、対象となる施工管理技術検定に合格し、その後3年または5年の実務経験を証明する方法であれば、現実的に要件を満たせる場合があります。

    建設業許可は、一度取得すれば終わりではありません。専任となっている人が退職した場合や、将来新しい業種を追加する場合には、改めて要件を満たす人材を確保する必要があります。

    そのため、現在の許可申請だけを考えて「何とか10年の実務経験を証明する」ということにこだわるのではなく、今後の許可の維持や業種追加まで考えて、資格を持つ人材を増やしていくことも重要です。

    実務経験による証明と資格取得のどちらが適しているかは、取得したい業種、現在証明できる実務経験年数、本人の学歴や保有資格などによって変わります。現在の状況だけでなく、今後会社として取得したい許可まで考えたうえで、専任を確保する方法を検討するとよいでしょう。

    第5章 実務経験10年で建設業許可を申請する前に確認したいこと

    申請する業種と実際の工事経験が一致しているか確認する

    実務経験によって営業所技術者等(専任)の要件を満たす場合には、申請前にもう一度、証明しようとしている工事が取得したい建設業に該当しているかを確認しておきましょう。

    建設業法では建設工事が29業種に区分されていますが、実際の工事現場で使用されている工事名称と、建設業法上の業種区分が必ずしも一致するとは限りません。

    例えば、「設備工事」「改修工事」「メンテナンス工事」などの名称だけでは、電気工事、管工事、機械器具設置工事などのうち、どの業種に該当するのか判断できないことがあります。

    そのため、契約書や注文書などに記載された工事名称だけを見るのではなく、実際にどのような工事を請け負ったのか、その内容まで確認して業種を判断する必要があります。

    特に、機械器具設置工事と電気工事、管工事など、工事内容によって業種の判断に迷いやすいものについては注意が必要です。

    また、すでに建設業許可を受けている会社での経験を使用する場合には、過去の決算変更届の工事経歴書において、その工事をどの業種の実績として記載しているかについても確認しておきましょう。

    実務経験を証明する段階になってから、過去に別業種として扱ってきた工事を「今回はこの業種の経験として使用したい」と整理し直すことは、原則としてできません。

    申請前には、「本人がどのような作業をしていたか」だけではなく、「その工事自体が建設業法上どの業種に該当するのか」という視点から、10年間の工事実績を確認することが重要です。

    工事内容と取得したい業種が一致していないことが申請直前に判明すると、予定していた10年間の実務経験を確保できなくなることもあります。まず業種を正しく整理したうえで、実務経験の証明資料を準備していきましょう。

    言い換えると、将来、実務経験を積ませたい業種がある場合には、その業種に該当する工事を、毎年の決算変更届でも対応する業種の工事として適切に記載しておくことが重要です。

    まだその業種の建設業許可を受けていない場合であっても、実際に軽微な建設工事を施工しているのであれば、「その他の建設工事」として完成工事高に計上するなど、将来その工事を行っていたことが確認できる形で申告しておくことをおすすめします。

    特に注意したいのが、許可業種以外の工事を実際には施工しているにもかかわらず、決算変更届で安易に「その他工事の実績なし」としてしまうことです。

    将来、その業種について実務経験による専任の要件を証明しようとした際に、過去の決算変更届では「実績なし」としているにもかかわらず、「実際にはその期間も工事を行っていた」と説明することになれば、過去の届出内容との整合性が問題になります。

    そのため、現在取得している許可だけではなく、将来取得する可能性のある業種まで意識して、毎年の工事実績を正しく整理しておくことが大切です。

    特に、将来的な業種追加を予定している会社では、安易に「実績なし」とするのではなく、許可を受けていない業種についても、実際に施工した工事があるのであれば、その実績を適切に残しておくことをおすすめします。

    10年間の経験を時系列で整理する

    実務経験10年で営業所技術者等(専任)の要件を満たそうとする場合には、いきなり実務経験証明書を作成するのではなく、まずこれまでの経験を時系列で整理することをおすすめします。

    特に転職歴がある場合や、複数の建設業に携わってきた場合には、「建設業界で10年以上働いている」というだけでは、実際にどの業種について何年の実務経験を証明できるのかが分かりません。

    例えば、過去15年間について、

    ・どの会社に在籍していたのか

    ・その期間にどの業種の工事を行っていたのか

    ・そのうち何年間を今回の実務経験として使用するのか

    ・工事実績を確認できる資料が残っているか

    ・本人の在籍期間を確認できる資料があるか

    といった情報を年ごとに並べていきます。

    このように整理すると、「在籍期間は12年あるが、対象業種として証明できるのは9年しかない」「前職の3年間を加えれば10年を超える」といったことが申請前に分かります。

    複数業種の経験がある場合には、さらに注意が必要です。

    前述したとおり、同じ期間を複数業種の実務経験として重複して使用することは原則としてできません。そのため、例えば大工工事と内装仕上工事の双方を経験している場合には、どの期間を大工工事に使用し、どの期間を内装仕上工事に使用するのかまで整理しておく必要があります。

    また、10年実務だけで考えるのではなく、途中で指定学科を卒業していることが分かった場合や、施工管理技術検定に合格している場合には、必要となる実務経験期間そのものが短くなる可能性があります。

    そのため、時系列を作成する際には、勤務歴や工事歴だけではなく、学歴、資格の取得時期、施工管理技術検定の合格時期なども併せて整理しておくと、どの方法で専任の要件を満たすのが最も適しているのか判断しやすくなります。

    実務経験10年の証明は、単純に古い工事資料から10年分を集めればよいものではありません。まず本人の経歴を時系列に整理し、その中から申請に使用する期間を決めたうえで、必要な証明資料を揃えていくことが、効率よく申請準備を進めるポイントです。

    経験期間と裏付け資料を照らし合わせる

    10年間の実務経験を時系列で整理したら、次に、それぞれの期間について必要な裏付け資料が揃っているかを確認していきます。

    ここで重要なのは、単に契約書や注文書などが10年分残っているかを見るのではなく、実務経験として使用しようとしている期間と、資料によって確認できる期間が一致しているかを確認することです。

    まず、対象となる業種の工事を行っていたことについて、契約書、注文書、請求書などの資料を確認します。その際には、工事の日付だけでなく、工事名称や工事内容から、申請する業種に該当する工事であることを確認できるかも見ていきます。

    次に、その期間に本人が会社に在籍していたことを確認します。

    兵庫県では、社会保険等の加入記録による確認のほか、必要に応じて賃金台帳や源泉徴収に関する資料などから在籍期間を確認することがあります。

    例えば、平成28年から令和7年までの10年間について工事資料が揃っていたとしても、本人の在籍を確認できるのが平成30年以降であれば、そのまま10年間すべてを本人の実務経験として証明できるとは限りません。

    反対に、社会保険等の記録から10年以上の在籍を確認できても、対象業種の工事について確認できる資料が8年分しかなければ、原則としてその資料だけで10年の実務経験を証明することはできません。

    また、資料が残っていても、途中の年だけ対象業種の工事を確認できないといったこともあります。

    そのため、実務経験を整理する際には、年ごとに、

    「対象業種の工事を確認できるか」
    「本人の在籍を確認できるか」

    の両方を照らし合わせていくと、実際に申請に使用できる期間が分かりやすくなります。

    10年の実務経験があると思っていても、資料と照らし合わせると途中に証明できない期間が見つかることはあります。申請書を作成してから不足に気付くのではなく、事前に工事実績と在籍期間の資料を突き合わせ、確実に証明できる期間が必要年数に達しているかを確認しておくことが重要です。

    証明できるか分からない段階で申請を進めない

    実務経験によって営業所技術者等(専任)の要件を満たそうとする場合には、必要な実務経験を証明できる見込みを確認してから申請準備を進めることが重要です。

    「本人は10年以上この仕事をしているから大丈夫だろう」と考えて申請書類の作成を進めても、後から工事資料や在籍確認資料が不足していることが分かれば、予定していた人を専任にすることができなくなる可能性があります。

    専任は建設業許可の重要な要件の一つです。そのため、実務経験を証明できなければ、単に追加資料を提出すれば済むとは限らず、専任となる人そのものを変更したり、資格取得など別の方法を検討したりしなければならないこともあります。

    特に、新規許可や業種追加を急いでいる場合には注意が必要です。

    「来月から500万円以上の工事を受注したい」「元請から許可を取得するよう求められている」といった事情があっても、実務経験の証明資料を確認しないまま申請スケジュールを組んでしまうと、予定していた時期に許可を取得できない可能性があります。

    実務経験で専任の要件を満たす場合には、まず対象業種について必要な経験年数があるかを確認し、次に工事実績と在籍期間を裏付ける資料が揃うかを確認します。そのうえで、必要年数を確実に証明できる見込みが立ってから申請手続きを進めるのが安全です。

    実務経験10年は、「10年以上経験しているか」だけでなく、「申請時にその10年を証明できるか」まで確認して初めて使える要件と考えておくことが大切です。

    実務経験の証明に不安がある場合は専門家へ相談を

    実務経験による営業所技術者等(専任)の証明は、建設業許可申請の中でも判断に迷いやすい部分の一つです。

    特に10年の実務経験を使用する場合には、単に勤務年数を確認するだけではなく、対象となる工事の業種、経験期間、工事実績の裏付け、本人の在籍確認などを一つずつ確認する必要があります。

    また、実際には十分な経験があるにもかかわらず、工事資料が不足している場合や、以前勤務していた会社での経験を使用する場合、複数業種の経験が混在している場合などは、どこまで実務経験として使用できるのか判断が難しくなることがあります。

    このような場合には、すべての資料を揃えてから相談するのではなく、現在手元にある資料で何年分を証明できそうなのかという段階で、建設業許可を専門とする行政書士などに相談することをおすすめします。

    確認した結果、10年すべてを証明する必要がなく、指定学科による期間短縮や施工管理技術検定の合格による短縮、すでに保有している資格、複数業種に係る実務経験の特例など、別の方法を利用できることもあります。

    反対に、10年の実務経験があると思って資料を集めていても、工事の業種が異なっていたり、過去の決算変更届との整合性が取れなかったりして、予定していた方法では証明できないこともあります。

    実務経験の証明では、申請直前になって不足が分かると、許可取得のスケジュールそのものを見直さなければならない場合があります。

    「この人を専任にできるのか」「この工事資料で何年の実務経験を証明できるのか」「10年に足りない場合に別の方法はないのか」といった点に不安がある場合には、できるだけ早い段階で要件を確認しておくことが重要です。

    第6章 実務経験に頼った専任の確保で会社が注意しておきたいこと

    実務経験者を専任にするなら早めに証明可能性を確認する

    将来、資格を持っていない社員や役員を実務経験によって営業所技術者等(専任)にする予定がある場合には、許可申請や業種追加が必要になってから確認するのではなく、できるだけ早い段階で実務経験を証明できるか確認しておくことをおすすめします。

    例えば、「この社員はすでに10年以上現場に出ているから、将来は専任にできる」と考えていても、実際に確認すると、取得したい業種の経験が10年に達していなかったり、過去の工事を証明する資料が十分に残っていなかったりすることがあります。

    特に複数業種の工事を行っている会社では注意が必要です。

    同じ期間を複数業種の実務経験として重複して使用することは原則としてできないため、単に「10年以上いろいろな工事を経験している」というだけでは、将来取得したい業種の専任になれるとは限りません。

    そのため、将来専任にする予定の人がいるのであれば、現在までにどの業種について何年の実務経験があるのかを整理し、不足する経験があれば、今後どの業種の経験を積ませる必要があるのかを確認しておくことが重要です。

    あわせて、学歴や保有資格、施工管理技術検定の合格状況なども確認しておきましょう。10年の実務経験を積ませなくても、指定学科や資格、施工管理技術検定の合格による期間短縮を利用できる場合があります。

    建設業許可では、専任となっている人の退職や、新たな業種への進出などによって、急に別の専任を確保しなければならなくなることがあります。

    その時になって初めて「誰が要件を満たしているのか」を確認するのではなく、将来専任になれる人材をあらかじめ把握し、その人の実務経験を証明できる状態にしておくことが、安定して建設業許可を維持・拡大していくうえで重要です。

    将来の許可取得・業種追加を見据えて工事資料を残しておく

    実務経験によって営業所技術者等(専任)の要件を証明する可能性がある会社では、将来必要になってから過去の資料を探すのではなく、日頃から工事資料を残しておくことが重要です。

    特に、契約書、注文書、請求書など、いつ、どのような工事を行ったのかを確認できる資料は、将来の実務経験を証明するうえで重要な資料となります。

    その際には、単に書類を保存しておくだけでなく、どの建設業に該当する工事なのかが後から分かるようにしておくことも大切です。

    例えば、請求書に「工事代一式」としか記載されていなければ、10年後にその資料を見ても、内装仕上工事なのか、大工工事なのか、機械器具設置工事なのかを判断できない可能性があります。

    工事名称や工事内容を適切に記載し、契約書や注文書などの関連資料と併せて保存しておけば、将来実務経験を証明する際にも工事内容を確認しやすくなります。

    また、すでに建設業許可を受けている会社では、毎年提出する決算変更届の内容にも注意が必要です。

    現在許可を受けていない業種であっても、将来その業種の許可取得や業種追加を予定しており、実際に軽微な建設工事を施工しているのであれば、「その他の建設工事」として完成工事高に計上するなど、その工事を行っていたことが分かるよう適切に申告しておくことが重要です。

    実際には工事を行っているにもかかわらず、安易に「その他工事の実績なし」としてしまうと、将来その期間について実務経験を証明しようとした際に、過去の決算変更届との整合性が問題になる可能性があります。

    将来取得したい業種が決まっているのであれば、その業種の実務経験を積ませることと、その経験を将来証明できる形で残すことをセットで考える必要があります。

    10年後になってから10年前の資料を作ることはできません。将来の許可取得や業種追加を見据えて、工事資料の保存方法や毎年の決算変更届の内容まで意識しておくことが、実務経験による専任を確保するための重要な準備となります。

    複数業種の実務経験を計画的に積ませる際の注意点

    将来的に複数業種の許可取得を考えている会社では、社員にさまざまな工事を経験させるだけではなく、どの業種について専任の要件を満たしてもらうのかを意識して実務経験を積ませることが重要です。

    特に注意したいのが、これまで説明したとおり、同じ期間を複数業種の実務経験として重複して使用することは原則としてできないことです。

    例えば、大工工事と内装仕上工事の両方を施工している会社で、ある社員に10年間両方の工事を経験させたとしても、その10年間だけで大工工事10年、内装仕上工事10年の双方の要件を満たせるわけではありません。

    そのため、実務経験だけで複数業種の専任を育成しようとすると、想定以上に長い期間が必要になることがあります。

    将来取得したい業種が決まっているのであれば、「とりあえず幅広く現場を経験させる」というだけではなく、現在どの業種について何年の実務経験があり、今後どの業種の経験を積ませる必要があるのかを整理しておくことをおすすめします。

    一方で、一定の業種の組み合わせについては、複数業種に係る実務経験による期間短縮の特例があります。また、指定学科の卒業者や一定の施工管理技術検定の合格者であれば、必要となる実務経験期間そのものを短縮できる場合もあります。

    そのため、人材育成を考える際には、10年の実務経験だけにこだわるのではなく、本人の学歴や現在の実務経験、取得可能な資格などを確認し、「実務経験を積ませる業種」と「資格で要件を満たす業種」を組み合わせることも有効です。

    例えば、資格によって複数業種の要件を満たせる人材を育成できれば、それぞれの業種について10年間ずつ実務経験を積ませるよりも、将来の業種追加に対応しやすくなります。

    建設業許可の業種を増やしていく予定がある会社では、工事の受注計画だけでなく、数年後に誰がどの業種の専任になれるのかという人材育成計画も併せて考えておくことが重要です。

    専任の退職や交代に備えて後任者を確保しておく

    建設業許可を維持していくうえでは、現在の営業所技術者等(専任)が要件を満たしていればそれで十分、というわけではありません。

    専任は建設業許可の重要な要件であるため、退職や異動などによって要件を満たす人がいなくなれば、許可の維持そのものに影響します。

    特に注意したいのが、一人の専任に複数業種を任せている会社です。

    例えば、一人の専任が5業種の要件を満たしている場合、その人が退職すると、一度に5業種について後任者を確保しなければならない可能性があります。

    資格によって要件を満たしている人であれば、社内に同じ資格を持つ人がいるか比較的確認しやすいですが、実務経験によって要件を満たしている場合には注意が必要です。

    「この社員も10年以上働いているから後任になれるだろう」と考えていても、実際には対象業種について10年の経験がなかったり、必要な期間の工事資料や在籍資料を証明できなかったりすることがあります。

    そのため、後任候補者については、現在の専任が退職してから確認するのではなく、あらかじめどの業種について、どのような要件で専任になることができるのかを確認しておくことが重要です。

    実務経験を利用する予定であれば、対象業種、経験年数、工事の裏付け資料、在籍確認資料まで確認しておきます。経験年数が不足しているのであれば、今後どの業種の経験を積ませるのか、資格取得によって要件を満たすのかといった育成計画も必要になります。

    また、専任の退職が決まってから資格取得を目指しても、必要な時期までに間に合わないことがあります。資格によっては試験が年に一度しか実施されないものもあり、施工管理技術検定の合格後に一定期間の実務経験が必要となるルートを利用する場合には、さらに長期的な準備が必要です。

    建設業許可を安定して維持するためには、現在の専任だけを見るのではなく、「この人が退職した場合、誰がどの業種を引き継げるのか」まで定期的に確認しておくことをおすすめします。

    専任の確保は、許可申請のときだけ考える問題ではありません。人事異動や退職の可能性も踏まえ、複数の社員が将来専任になれる体制をつくっておくことが、許可を継続して維持するための重要なリスク管理となります。

    実務経験だけに頼らず資格取得も含めた人材育成を考える

    実務経験10年は、資格を持っていない方でも営業所技術者等(専任)の要件を満たすことができる重要な制度です。

    一方で、会社の専任を長期的に確保するという観点では、実務経験だけに頼ることには一定のリスクがあります。

    10年という長い期間が必要になるだけでなく、その期間について対象業種の工事を行っていたことや本人が在籍していたことを、将来にわたって証明できるようにしておかなければならないからです。

    また、複数業種の実務経験は同じ期間を重複して使用することが原則できないため、実務経験だけで対応できる業種を増やそうとすると、非常に長い期間が必要になることがあります。

    そのため、将来的な業種追加や専任の交代を考えるのであれば、実務経験を積ませることと並行して、施工管理技士をはじめとする資格取得を進めることも重要です。

    資格によっては、一つの資格で複数の建設業について専任の要件を満たすことができます。会社が今後取得したい業種を整理したうえで、それらの業種に対応できる資格を社員に計画的に取得してもらえば、業種追加や専任の交代にも対応しやすくなります。

    また、すぐに専任の要件を満たせる資格を取得することが難しい場合でも、施工管理技術検定の第一次検定に合格し、施工管理技士補となることで、一定の業種について必要な実務経験期間を短縮できる場合があります。

    「10年経験するまで待つ」のではなく、資格取得と実務経験を組み合わせて、数年後に専任になれる人材を育てるという考え方も重要です。

    例えば、会社として3年後、5年後にどの業種の許可を追加したいのかを決め、その時点で誰が専任になれるのかを逆算して考えておけば、必要な資格取得や実務経験を計画的に進めることができます。

    建設業許可の維持や業種追加を安定して行うためには、現在の専任だけでなく、将来の専任候補者を複数育成しておくことが大切です。

    実務経験、学歴、保有資格、施工管理技術検定など、それぞれの社員が利用できる要件を確認しながら、会社の事業計画に合わせた人材育成を進めていきましょう。

    営業所技術者等(専任)の要件は、資格を持っていない場合でも、原則として許可を受けようとする建設業について10年以上の実務経験を有することで満たすことができます。

    ただし、重要なのは単に「建設会社で10年以上働いている」「現場経験が10年以上ある」ということではありません。

    取得しようとする業種について必要な実務経験があり、その期間について工事実績と本人の在籍を資料によって証明できることが必要です。

    特に実務経験10年による申請では、

    取得したい業種に該当する工事経験があるか

    ・10年間の工事実績を証明できる資料が残っているか

    ・その期間に本人が在籍していたことを証明できるか

    ・同じ期間を他業種の実務経験として使用していないか

    ・過去の決算変更届などとの整合性が取れているか

    といった点を確認しておくことが重要です。

    一方、10年間すべての実務経験を証明できないからといって、すぐに専任になることを諦める必要はありません。

    指定学科の卒業による実務経験期間の短縮、一定の施工管理技術検定の合格による期間短縮、複数業種に係る実務経験の特例、国家資格等による要件充足など、10年の実務経験以外の方法を利用できる場合があります。

    そのため、「10年分の資料がない」という場合には、まず本人の学歴、保有資格、施工管理技術検定の合格歴、これまで経験した業種や勤務先などを整理し、別の方法で要件を満たせないか確認してみることが大切です。

    また、将来的に実務経験によって専任となる人材を育成するのであれば、日頃から工事資料を適切に保存しておくことも重要です。将来取得したい業種がある場合には、その業種の工事実績を適切に管理し、決算変更届についても安易に「実績なし」とすることは避けた方がよいでしょう。

    建設業許可は、取得するときだけ専任を確保すればよいものではありません。専任の退職や交代、将来の業種追加まで考えると、実務経験だけに頼るのではなく、資格取得も含めて複数の後任候補者を育成しておくことが重要です。

    当事務所では、建設業許可を専門として、実務経験による営業所技術者等(専任)の要件確認や証明資料の確認、業種追加を見据えた人材育成についてのご相談にも対応しています。

    「10年以上経験はあるが証明できるか分からない」「どの工事が実務経験として使えるのか分からない」「10年に少し足りないが他の方法はないか」といった場合には、申請を進める前にお気軽にご相談ください。

    建設業許可手続きセンター (行政書士こうべ元町事務所)

    該当ガイドラインを熟知した行政書士が、全国の建設業を営む皆様のご相談を受け付けています。建設業許可の申請や業種追加など、円滑な業務を支えるための複雑な手続きをサポートする事務所を兵庫に構えています。

    建設業許可手続きセンター (行政書士こうべ元町事務所)

    〒650-0012
    兵庫県神戸市中央区北長狭通4-3-8 N.Rビル 5階

    078-332-3911

    当店でご利用いただける電子決済のご案内

    下記よりお選びいただけます。