行政書士こうべ元町事務所

電気通信工事業の建設業許可を業種追加したい企業のための実務ガイド

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電気通信工事業の建設業許可を業種追加したい企業のための実務ガイド

電気通信工事業の建設業許可を業種追加したい企業のための実務ガイド

2025/05/30

はじめに|通信インフラ時代に対応する「電気通信工事業」の必要性

現代社会において、ICTインフラの整備はますます重要性を増しており、光回線・LAN・Wi-Fi設備・5G基地局など、通信関連の工事需要は今後も堅調に推移すると見込まれます。こうした背景のもと、すでに建設業許可を取得している企業の中には、新たに「電気通信工事業」を追加取得することで、業務領域の拡大や公共工事への参入を目指す動きが見られます。

本稿では、電気通信工事業の許可を追加で取得する際の具体的な手続き、要件、書類、注意点などを、企業の経営者や許可実務担当者向けに詳しく解説します。

 


 

第1章|電気通信工事業とは何か?

建設業法では、許可を要する29業種の一つとして「電気通信工事業」が定められています。

● 業種定義

有線電気通信設備(電話線、光ファイバー、通信ケーブルなど)、無線電気通信設備(携帯基地局、無線LAN等)、放送設備、データ通信設備などの設置、交換、修理などを行う工事。

● 代表的な工事例

  • インターネット回線(光ファイバー等)の引込工事

  • オフィスや商業施設へのLAN配線工事

  • 監視カメラやインターホンのネットワーク化工事

  • 地上デジタル放送受信設備の設置工事

  • 携帯電話基地局の設置・メンテナンス工事

この業種を取得することで、情報通信関連の高度な設備工事や、自治体・公共団体が発注する通信インフラ工事への参入が可能となります。

 


 

第2章|業種追加の基本手続きの流れ

電気通信工事業を追加で取得する場合、「業種追加」の手続きを行うことになります。

● 許可の追加申請の種類

  • 一般建設業許可 → 一般建設業許可(業種追加)

  • 特定建設業許可 → 特定建設業許可(業種追加)

現在取得している許可が「一般建設業」の場合、同様に「一般」での追加となります(ただし、特定を新たに取得したい場合は別途要件あり)。

● 手続きの主な流れ

  1. 必要要件の確認(専任技術者、営業所、財産基礎など)

  2. 添付書類の収集(技術者経歴、実務証明、商業登記簿など)

  3. 許可申請書・業種追加様式の作成

  4. 都道府県または政令市への提出

  5. 審査期間(30日〜45日程度)

  6. 許可通知書の受領

  7.  


 

第3章|業種追加で求められる主な要件

業種追加とはいえ、追加する業種ごとに改めて法定要件の確認が必要です。

1. 専任技術者の設置

追加する電気通信工事業に関して、専任技術者(営業所に常駐)が必要となります。
この人物が、次のいずれかの基準を満たしていなければなりません。

<専任技術者の要件>

  • 技術検定(1級または2級電気通信工事施工管理技士)合格者

  • 指定学科卒業+実務経験(高卒5年、大卒3年)

  • 実務経験のみで10年以上(電気通信工事に限る)

  • 一定の監督経験を有する者(元請の主任技術者等)

実務経験で証明する場合、過去の工事契約書・請求書・写真・発注者証明などが必要です。

2. 経営業務の管理責任者(経管)の変更は不要

既に他の業種で許可を取得している場合、経営業務の管理責任者は変えずに業種を追加できます。ただし、直近の経管の変更や退任があった場合は注意が必要です。

3. 財産的基礎の再確認

一般建設業の業種追加においては、現行の許可を取得してから5年を経過していない場合には、財産的基礎(自己資本500万円以上)または同等の資金調達能力の証明書類(残高証明書等)の提出が必要です。 これは、建設業法施行規則第7条の要件に準拠しており、5年未満の業者に対しては、引き続き資本力を確認するための審査が行われます。

 


 

第4章|提出書類の具体的内容

● 提出先

  • 主たる営業所がある都道府県の建設業許可窓口
    (大臣許可地方整備局が窓口)

● 主な提出書類一覧

  1. 建設業許可業種追加申請書(様式第一号)

  2. 専任技術者となれる免状もしくは実務経験証明書

  3. 実務経験の場合は工事内容を証明する契約書・請求書など(写し可)

  4. 法人登記簿謄本(履歴事項全部証明書・3か月以内)

  5. 納税証明書(法人税、消費税)

  6. 使用人数・労務管理の状況報告

  7. 営業所の写真・賃貸契約書など(必要に応じて)

  8.  


 

第5章|審査での注意点と不備の多いポイント

① 実務経験証明の不備

「どの工事が電気通信工事に該当するのか」が曖昧だと、不備として差し戻されます。
「LAN工事」「ネットワーク工事」「光回線引込工事」など、発注者名・現場名・金額・工期が明記された資料を準備しましょう。

② 専任性の確保が不十分

専任技術者は常勤かつ専任である必要があるため、「兼務」「複数会社で技術者」などと疑われる要素は厳しくチェックされます。給与台帳・出勤簿等で常勤性を証明できるよう準備を。

③ 電気工事業との混同

「電気通信工事業」と「電気工事業」は異なる業種です。通信設備の電源工事や照明工事は「電気工事業」であり、区分を正確に理解しておく必要があります。

 


 

第6章|取得後の展望と戦略

電気通信工事業の許可を追加することで、次のようなビジネス展開が期待できます。

  • 自社一貫の通信インフラ整備(内線電気+通信)

  • 通信関連の公共工事への入札資格獲得(経審+指名願)

  • 元請としての監督工事参入

  • クライアント(病院・学校・官庁等)からの評価向上

  • サブコンからの脱却、元請化の第一歩

特に、ICT環境整備に積極的な自治体・教育機関の案件では、「電気通信工事業」の許可を持つか否かが、元請業者からの選定条件となるケースも増えてきています。

 


 

まとめ|業種追加は「会社の技術力の証明」

電気通信工事業の業種追加は、単なる許可書類の追加ではなく、「企業の施工能力」「技術者の信頼性」「専門性の証明」としての意味を持ちます。

これを機に、技術者のキャリア整理や工事実績の記録体制を見直すことも大切です。また、今後の経営戦略として公共工事への参入を見据えて、経営事項審査やBCP認定等にも視野を広げることで、より強い建設業者への成長が可能となります。

専門家の助言を得ながら、確実に、そして着実に申請準備を進めましょう。

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住所 : 兵庫県神戸市中央区北長狭通4-3-8 N.Rビル 5階
電話番号 : 078-332-3911


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