建設業の業種とは?自社に合った許可の選び方を徹底解説!
2025/05/13
建設業を営むには、原則として「建設業許可」が必要です。しかしこの許可、実は一つではなく29種類あることをご存じでしょうか?
自社の業務内容に合った業種を選ばなければ、無許可営業になってしまうリスクも。この記事では、建設業許可の29業種の内容と分類、そして自社に合った業種の選び方について、建設業許可の実務に携わる視点からわかりやすく解説します。
建設業の29業種とは?【工事の種類によって分類】
建設業の許可は、大きく以下の2分類に分かれます。
◾ 一式工事(2業種)
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土木一式工事
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建築一式工事
◾ 専門工事(27業種)
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大工工事、左官工事、とび・土工工事、石工事、屋根工事、電気工事、管工事、タイル・れんが・ブロック工事、鋼構造物工事、鉄筋工事、舗装工事、しゅんせつ工事、板金工事、ガラス工事、塗装工事、防水工事、内装仕上工事、機械器具設置工事、熱絶縁工事、電気通信工事、造園工事、さく井工事、建具工事、水道施設工事、消防施設工事、清掃施設工事、解体工事
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業種の内容をざっくり解説!【代表的な業種の特徴】
ここでは、実務でよく見かける業種を中心に内容を説明します。
◆ 建築一式工事
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住宅やビル、商業施設などの新築・増改築・改修などの総合的な工事
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下請に専門工事を発注して全体をマネジメントする元請け工事が多い
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設計や施工計画、現場管理なども含まれる
◆ 土木一式工事
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道路、河川、造成などのインフラ整備工事の総合的管理
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公共工事での元請業者に多く見られる
◆ とび・土工・コンクリート工事
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足場の組立や掘削、コンクリート打設、基礎工事など
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住宅基礎や擁壁など幅広い場面で登場
◆ 管工事
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給排水や冷暖房、空調などの配管工事
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水道やガス設備工事業者に必須
◆ 電気工事
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一般電気設備、引込線、照明、防犯など
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労働安全法に基づく「電気工事士」資格が必要なことも多い
◆ 解体工事
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建物の取り壊し、がれき撤去など
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平成28年から独立業種として追加。専門的知識・安全管理が問われる
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許可を取得する業種の選び方【5つのステップ】
ステップ1:実際に請け負っている工事の内容を明確にする
たとえば「空調機の設置」をしている場合、それは「管工事」または「機械器具設置工事」に該当する可能性があります。
ステップ2:公共工事を狙うなら「一式工事」+専門業種を組み合わせる
国・自治体の案件では「建築一式工事」「土木一式工事」の資格があると有利です。加えて「とび・土工」や「電気」など専門業種を持っておくと案件の幅が広がります。
ステップ3:500万円以上の請負は許可が必要
工事1件の請負額が500万円(税込)以上(建築一式は1,500万円以上)の場合は、無許可では違法になります。
ステップ4:下請として参入する場合でも元請の信頼性に影響
許可を持っていないと「元請に信用されにくい」ことがあります。実績を積むなら業種許可は必須。
ステップ5:近い将来行う予定の工事も想定して取得
たとえば将来「解体」も受注するなら、「解体工事業」も最初から取得しておくのがおすすめです。
建設業許可でよくある業種の勘違い7選!間違えると無許可扱いに?
建設業許可を取得する際、29業種から自社の工事内容に適した業種を選ぶ必要がありますが、実は似たような工事が複数の業種にまたがっていることが多く、判断ミスが起こりやすいのが現実です。
業種の選定を誤ると、「許可を持っているのに無許可工事とされてしまう」ことも。ここでは、現場や申請でよくある典型的な勘違い例を紹介し、正しい判断のためのポイントを解説します。
勘違い① 「塗装工事」なのに「内装仕上工事」で申請している
よくある誤解
「室内の壁を塗装する=内装の仕上げだから『内装仕上工事』だろう」と思い込んでしまうケース。
正解は?
塗料を使って仕上げる工事はすべて「塗装工事」業種です。室内外や用途を問わず、「塗る」行為は一貫して塗装工事。
勘違い② 「エアコン取付」は「電気工事業」?
よくある誤解
「電気を使う機械だから電気工事だろう」と誤って判断。
正解は?
エアコンの設置は主に冷媒配管などを伴う「管工事」に該当します。電源接続のみなら「電気工事」だが、一体型施工では「管工事」が主。
勘違い③ 「基礎工事」は「建築一式工事」だから基礎工事には建築一式の技術者で工事可能?
よくある誤解
「建物全体を請けているから、その一部である基礎工事に個別の技術者配置は不要」と考える。
正解は?
一式工事は下請の専門工事業者を使って建築物を築造する工事を指すので、元請で請け負いながら自社が基礎工事も施工する場合は「とび・土工・コンクリート工事」の技術者の配置が必要。
勘違い④ 「外構工事」は「造園工事」?
よくある誤解
駐車場舗装や門扉設置、フェンスの施工を「庭まわり=造園工事」と解釈。
正解は?
外構工事の内容により、とび・土工、舗装、鋼構造物、建具、塗装など複数業種に分かれます。植栽を伴うような工事だけが造園工事。
勘違い⑤ 「解体工事」は、すべての業者が対応できる?
よくある誤解
解体工事が独立したときに出された「建設工事の区分の考え方(建設業許可事務ガイドライン) 」に
・ それぞれの専門工事において建設される目的物について、それのみを解体する工 事は各専門工事に該当する。
と記載がされたことにより、許可があれば解体工事もできると思っているケース。
正解は?
現在は解体工事業が独立業種(平成28年6月1日改正)となっており、500万円以上の解体には原則「解体工事業」の許可が必要です。
勘違い⑥ 「プレハブ倉庫の設置」は「建築一式工事」?
よくある誤解
「倉庫=建築物だから建築一式工事が必要」と判断。
正解は?
工場で生産された機械を設置するだけの倉庫なら「機械器具設置工事」の付帯に該当するケースがあります。工事の目的が重要。
勘違い⑦ 「給湯器交換」だけなら許可不要?
よくある誤解
「小さな工事だし、交換作業だけだから許可はいらない」と判断。
正解は?
工事の金額が税込500万円以上(建築一式は1,500万円)であれば、必ず「管工事」の許可が必要。小規模でも金額次第で要注意。
業種選定は「工事の主たる内容」で判断すべし!
建設業許可では、「どのような材料・工法で、何を目的に施工するのか」が判断基準です。
複数業種にまたがる工事であっても、「主たる工事内容がどれか」を見極めることが重要。
たとえば、床暖房の設置工事は以下のように分かれます:
工事内容 | 該当業種 |
---|---|
床材を張る | 内装仕上工事 |
床暖房配管設置 | 管工事 |
電源工事 | 電気工事 |
一体で請け負うなら「管工事」が主たる業種とされるケースが多くなります。
まとめ:業種の勘違いは重大リスク!早めの確認を
許可業種を誤って申請した場合、後から業種の変更申請が必要になったり、最悪の場合「無許可工事」と判断されて行政処分・罰則の対象になることもあります。
少しでも迷ったら、申請前に専門家に相談することで、手戻りやリスクを避けることができます。
まとめ:業種選びは将来戦略も含めた「事業設計」がカギ!
建設業許可の業種選びは、現在の業務内容に合っているかだけでなく、今後の事業展開や受注戦略も含めて考えるべき判断材料です。
不明点があれば、行政書士など専門家に相談して、「不要なリスクを回避する」ことが、今後の事業拡大においても重要です。
建設業許可の業種でお困りなら…
許可申請や業種選定に迷ったら、建設業専門の行政書士に相談することをおすすめします。適切な業種選定ができていないと、許可を取った意味がなくなることもあります。
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