行政書士こうべ元町事務所

【令和7年建設業法改正】特定建設業許可・監理技術者・施工体制台帳の金額基準が大幅引き上げ!

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【令和7年建設業法改正】特定建設業許可・監理技術者・施工体制台帳の金額基準が大幅引き上げ!

【令和7年建設業法改正】特定建設業許可・監理技術者・施工体制台帳の金額基準が大幅引き上げ!

2025/05/13

「令和7年2月1日建設業法改正に関する資料(適正な施工の確保)」をもとに、特定建設業許可・監理技術者の配置・施工体制台帳作成義務等の金額基準について、5つの場面別にわかりやすく解説します。

 

✅ 改正の理由(背景と目的)

1.【物価や人件費の上昇】に対応するため

  • 建設工事を取り巻く経済状況(物価高騰・労務費上昇・資材費の増加)により、従来の金額基準(4,000万円~)が実態に合わなくなっていた

  • 数十年前に設定された基準では、「実質的に中小規模」の工事にまで大規模工事と同じ扱いを求める不均衡が生じていた。

2.【中小建設業者の事務負担の軽減】を図るため

  • 中小業者でも4,000万円規模の下請契約は一般的になっており、過度な書類整備や技術者配置義務が実務負担・コスト増となっていた。

  • 金額基準の見直しにより、「本当に必要な現場に監理技術者等を集中させる」ことができる。

3.【技術者不足への対応】

  • 建設業界では監理技術者や専任技術者の人材不足が深刻。

  • 不必要に配置義務が発生する現場が多いことで、技術者の有効活用ができない状況になっていた。

  • 改正により、人員配置の適正化・効率化を可能に。

4.【合理的な法制度運用】への転換

  • 「工事金額」による一律の義務化では、施工内容や現場の複雑性と金額が一致しないケースも多い。

  • よって、法制度として柔軟かつ実態に即した基準へと見直すことで、真に安全性・品質確保が必要な工事への集中管理が可能になる。

5.【働き方改革やデジタル活用の推進】

  • テレワークや情報通信技術(ICT)による遠隔管理を一部認める特例(専任特例)も併せて導入。

  • 従来の「常駐・紙書類重視」から、「ICT活用・成果責任型」へ移行する流れの一環。


 

📘 施工体制台帳とは?

▶ 定義:

施工体制台帳とは、元請業者が下請業者との契約関係や施工体制を明らかにするために作成する台帳で、次のような内容を記載します。

  • 下請業者の名称、許可番号、工事内容、契約金額

  • 再下請通知の有無

  • 主任技術者または監理技術者の情報

  • 指定建設業(7業種)に該当するか 等

▶ 根拠法令:

  • 建設業法 第24条の7、第26条の3

  • 建設業法施行規則 第13条、第17条の7 ほか


📌 作成が義務となるケース

▶ 改正前(令和7年1月31日まで):

  • 下請契約の請負金額が4,500万円以上(建築一式は7,000万円以上)

▶ 改正後(令和7年2月1日以降):

  • 下請契約の請負金額が5,000万円以上(建築一式は8,000万円以上)

※この「金額基準」は、一件ごとの契約単位で判断されます。
※建設一式かどうかで基準が異なります。


✅ 目的と意義

  • 多重下請構造の中での施工責任の明確化

  • 元請業者の技術者配置や安全管理の履行確認

  • 再下請けの透明性の確保(中抜き・一括下請の防止


🛠️ 実務の対応手順(作成から保管まで)

  1. 下請契約時に情報を取得
     → 各下請業者からの許可証や技術者情報を収集

  2. 施工体制台帳の作成
     → 書式は様式第25号(省令様式)に準じる

  3. 再下請通知書の有無を確認・管理
     → 再委託がある場合は「再下請負通知書」の提出も必要

  4. 台帳の現場備付け・保管
     → 工事完了後も5年間保存義務あり(公共工事では特例も)


📉 作成義務が不要になるケース(改正による緩和)

  • 下請契約の金額が5,000万円未満(建築一式は8,000万円未満)である場合
     → 作成義務はありません。

※ただし、元請が自主的に体制管理を行うために作成することは推奨されます。

また、公共工事発注者※から平成27年4月1日以降に直接建設工事を請け負った建設業者は、その工事に関して下請契約を締結した場合、請負金額にかかわらず施工体制台帳の作成が必要である。

 


🔶 改正内容をわかりやすく説明(5つの基準金額)

区分 改正前 改正後(令和7年2月1日)
① 特定建設業許可が必要となる下請契約 4,500万円(建築一式は7,000万円)以上 5,000万円(建築一式は8,000万円)以上
② 監理技術者の配置が必要となる下請契約 4,500万円(建築一式は7,000万円)以上 5,000万円(建築一式は8,000万円)以上
③ 施工体制台帳の作成義務がある下請契約 4,500万円(建築一式は7,000万円)以上 5,000万円(建築一式は8,000万円)以上
④ 専任の主任・監理技術者が必要な契約 4,000万円(建築一式は8,000万円)以上 4,500万円(建築一式は9,000万円)以上
⑤ 特定専門工事で主任技術者が不要になる条件 4,000万円未満(画一的な工事) 4,500万円未満 に引上げ


🔸 各制度の趣旨と改正後のポイント

① 特定建設業許可の要否

  • 元請が直接請けた工事で、一次下請契約の総額が5,000万円(建築一式は8,000万円)以上の場合は「特定建設業許可」が必要になります。

  • それ以下であれば、一般建設業許可で足ります

  • ポイント:受注額ではなく「下請契約の総額」で判断

② 監理技術者の配置義務

  • 元請が一定額以上の工事を下請に出す場合、主任技術者の代わりに「監理技術者」を配置する必要があります。

  • 改正後は5,000万円/8,000万円以上の下請契約が対象です。

③ 施工体制台帳の作成義務

  • 元請が5,000万円/8,000万円以上で下請契約をする場合は、施工体制台帳を作成して現場での管理体制を明確にする必要があります。

  • ※公共工事においては、請負金額の多寡にかかわらず下請契約がある限り、施工体制台帳および施工体系図の作成は義務

④ 専任技術者の配置義務

  • 工事の請負金額が4,500万円(建築一式は9,000万円)以上で、かつ公共性がある施設や多数が利用する工作物に該当する場合、現場ごとに専任技術者の配置が必要です。

⑤ 特定専門工事の主任技術者免除条件

  • 鉄筋工事・型枠工事等の「特定専門工事」において、元請との書面合意や専任配置など一定要件を満たせば、4,500万円未満で主任技術者の配置が不要になります。


✅ 実務での注意点と対応策

対応項目 チェックポイント
✅ 契約前の金額確認 工事金額が基準に該当するか契約前に確認
✅ 許可の種別確認 自社が一般か特定か、変更が必要か確認
✅ 技術者の選定 配置が必要な技術者の資格と雇用関係を要確認
✅ 施工体制の整備 体制台帳や体系図を適切に作成・保管する
✅ テレワーク活用 条件を満たせば遠隔配置も一部認められる(専任特例)


💡 補足:「専任」の定義

  • 「専任」とは「その工事のみに従事すること」であり、「常駐」ではありません。

  • テレワークや短時間の現場離脱は合理的な理由があれば認められることもあります。


📘 根拠資料

この解説は、以下の国土交通省資料を根拠としています。

  • 『適正な施工の確保のためのガイドライン(令和7年2月)』

  • 建設業法第3条、第15条、第26条等の改正条文および解説

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