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建設業許可の取り方を徹底解説|兵庫県で許可を取得するための要件・必要書類・申請の流れ

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建設業許可の取り方を徹底解説|兵庫県で許可を取得するための要件・必要書類・申請の流れ

建設業許可の取り方を徹底解説|兵庫県で許可を取得するための要件・必要書類・申請の流れ

2025/12/06

建設業許可を取得したいと考えていても、「自社は許可を取れるのか」「どの業種の許可が必要なのか」「資格がなくても申請できるのか」「過去の経営経験や実務経験をどう証明すればよいのか」など、最初の段階で悩まれる方は少なくありません。

建設業許可は、申請書を作成して提出すれば取得できるものではありません。経営業務の管理責任者や営業所技術者等をはじめとする許可要件を満たしたうえで、その事実を必要な資料によって証明する必要があります。

特に、資格ではなく過去の経営経験や実務経験を使って申請する場合には注意が必要です。「実際に長年建設業をしてきた」というだけでは足りず、当時の立場や常勤性、工事の内容などを客観的な資料によって確認できることが重要になります。

また、建設業許可には、知事許可と大臣許可、一般建設業と特定建設業の区分があり、工事の内容によって取得すべき業種も異なります。許可取得後も、毎年の決算変更届や各種変更届、5年ごとの更新などの手続きが続くため、取得時だけでなく、その後の許可の維持まで考えておかなければなりません。

本記事では、兵庫県で建設業許可の取得を検討している方に向けて、建設業許可が必要となる基準から、許可要件、経営経験・実務経験の証明方法、必要書類、申請の流れ、許可取得後の手続きまでを順番に解説します。

一人親方や個人事業主が許可を取得する場合についても取り上げますので、これから建設業許可を取得したい方はもちろん、将来の許可取得に向けて準備を始めたい方も参考にしてください。

建設業許可手続きセンター (行政書士こうべ元町事務所)

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目次

    第1章 建設業許可を取得する前に知っておきたい基礎知識

    ① そもそも建設業許可はどのような場合に必要なのか

    建設業を営もうとする場合、原則として建設業法に基づく許可を受けなければなりません。ただし、「軽微な建設工事」のみを請け負って営業する場合には、建設業許可を受ける必要はありません。

    軽微な建設工事に該当するかどうかは、建築一式工事とそれ以外の工事で基準が異なります。

    建築一式工事以外の工事については、1件の請負代金が500万円未満の工事が軽微な建設工事となります。

    一方、建築一式工事については、1件の請負代金が1,500万円未満の工事、または延べ面積150㎡未満の木造住宅工事が軽微な建設工事に該当します。

    ここでいう「木造」とは、建築基準法第2条第5号に定める主要構造部が木造であるものをいい、「住宅」とは、延べ面積の2分の1以上を居住の用に供するものをいいます。

    許可の要否を判断するときに、特に注意したいのが請負代金の計算方法です。

    500万円や1,500万円という基準は、消費税を含んだ金額で判断します。また、注文者が材料を提供する場合には、契約書に記載された請負代金だけを見るのではなく、支給された材料の市場価格と、その材料を現場まで運ぶための運送費を加えた金額で判断します。

    例えば、建築一式工事以外の専門工事について、請負代金が税込480万円であったとしても、注文者から市場価格50万円の材料が支給されていれば、許可の要否を判断する金額は530万円となります。この場合、軽微な建設工事の範囲を超えるため、その工事に対応する建設業許可が必要になります。

    また、本来一つである工事を複数の契約に分ければ500万円未満にできる、というものでもありません。同一の建設業を営む者が工事の完成を二つ以上の契約に分割して請け負う場合には、正当な理由に基づいて契約を分割した場合を除き、各契約の請負代金を合計して判断します。

    さらに、許可が必要かどうかは元請・下請によって変わるものではありません。下請工事であっても、軽微な建設工事の範囲を超える工事を請け負うのであれば、その工事に対応する建設業許可が必要です。

    無許可の事業者が、本来許可を必要とする建設工事を請け負えば、建設業法違反となる可能性があります。

    そのため、工事を受注するときは単に「請負金額が500万円未満か」だけを見るのではなく、工事の種類、消費税、材料支給の有無、契約の分割なども含めて、契約を締結する前に許可が必要な工事かどうかを確認することが重要です。

    次項では、実務上判断を誤りやすい「軽微な建設工事」について、500万円の基準を中心にもう少し詳しく解説します。

    ② 500万円未満なら許可不要?「軽微な建設工事」の考え方

    建設業許可について、「500万円未満の工事なら許可はいらない」と聞いたことがある方も多いでしょう。

    建築一式工事以外では、1件の請負代金が500万円未満の工事は「軽微な建設工事」に該当するため、その工事だけを請け負うのであれば建設業許可は必要ありません。

    しかし、実務では単純に契約書に書かれた金額だけを見て判断すると、無許可営業になってしまう可能性があります。

    まず注意したいのが、500万円の基準は消費税を含めて判断するという点です。

    例えば、工事代金が税抜460万円の場合、消費税10%を加えると税込506万円となります。税抜金額だけを見れば500万円を下回っていますが、許可の要否を判断する金額は500万円以上となるため、原則としてその工事に対応する建設業許可が必要です。

    次に注意が必要なのが、注文者から材料の支給を受ける場合です。

    注文者が材料を提供する場合には、その材料の市場価格と運送費を請負代金に加えて判断します。そのため、契約上の工事代金そのものが500万円未満であっても、材料の支給を受けることによって軽微な建設工事の範囲を超えることがあります。

    例えば、税込400万円で工事を請け負い、注文者から市場価格120万円の材料が支給された場合、許可の要否を判断する際には合計520万円として考えることになります。

    また、一つの工事を複数の契約に分けても、当然に別々の500万円未満の工事として扱われるわけではありません。

    例えば、本来600万円で請け負う工事について、300万円ずつ二つの契約書を作成したとしても、それだけで軽微な建設工事になるわけではありません。同一の建設業を営む者が工事の完成を二つ以上の契約に分割して請け負う場合には、正当な理由がある場合を除き、それぞれの請負代金を合計して判断します。

    さらに、元請から受注した下請工事であっても500万円の基準は適用されます。

    「下請だから建設業許可はいらない」という制度ではありません。元請・下請にかかわらず、自社が請け負う工事が軽微な建設工事の範囲を超えるのであれば、原則としてその工事業種の建設業許可が必要です。

    もう一つ注意したいのが、500万円未満であれば、どのような工事でも無許可で施工できるわけではないという点です。

    建設業法上は軽微な建設工事に該当しても、工事の種類によっては別の法律に基づく登録や資格などが必要となる場合があります。例えば、電気工事業や解体工事業などでは、建設業許可とは別の制度についても確認する必要があります。

    このように、「500万円未満なら許可不要」という言葉だけを覚えてしまうと、実際の工事で判断を誤る可能性があります。

    税込金額はいくらか、材料支給はないか、一つの工事を分割していないか、そして建設業法以外に必要となる登録等はないか。これらを確認したうえで、軽微な建設工事に該当するかを判断することが重要です。

    ③ 知事許可と大臣許可は何が違うのか

    建設業許可には、「都道府県知事許可」と「国土交通大臣許可」があります。

    兵庫県内に本店がある建設会社だから必ず兵庫県知事許可になる、あるいは全国で工事をする会社だから大臣許可が必要になる、というわけではありません。

    知事許可と大臣許可のどちらが必要になるかは、工事を施工する場所ではなく、建設業を営む営業所をどこに設けるかによって決まります。

    一つの都道府県内だけに営業所を設けて建設業を営む場合は、その都道府県知事の許可を受けます。例えば、本店と支店の両方が兵庫県内にあり、兵庫県内の営業所だけで建設業を営むのであれば、営業所が複数あっても兵庫県知事許可となります。

    一方、二つ以上の都道府県に建設業を営む営業所を設ける場合には、国土交通大臣許可が必要です。

    例えば、神戸市に本店を置き、大阪府にも建設工事の請負契約を締結する支店を設ける場合には、営業所が複数の都道府県にまたがるため、大臣許可の対象となります。

    ここで特に注意したいのが、「営業所」とは単に会社の登記上の本店や支店を意味するものではないということです。

    建設業法上の営業所とは、本店や支店のほか、常時建設工事の請負契約を締結する事務所など、建設業に係る営業に実質的に関与する場所をいいます。

    反対に、登記上は支店であっても、その場所で建設業に関する営業を行わないのであれば、直ちに建設業法上の営業所になるわけではありません。また、工事現場に置かれる現場事務所などは、通常、建設業法上の営業所とは区別して考えます。

    もう一つ、よくある誤解が「知事許可では県外の工事を請け負えない」というものです。

    兵庫県知事許可を受けた建設業者であっても、大阪府や京都府、東京都など、兵庫県外の建設工事を請け負い、施工することは可能です。

    知事許可と大臣許可の区分は、施工できる地域を制限する制度ではありません。あくまでも建設業を営む営業所が一つの都道府県内にあるのか、二つ以上の都道府県にあるのかによって決まります。

    そのため、事業拡大に伴って県外に支店等を設ける場合には注意が必要です。単なる連絡拠点ではなく、その支店で建設工事の請負契約を締結するなど建設業を営むのであれば、知事許可から大臣許可への許可換えが必要になることがあります。

    建設業許可を申請する際には、現在の営業所だけでなく、今後どのような営業体制で事業を展開する予定なのかも考えたうえで、知事許可と大臣許可のどちらが必要なのかを判断することが重要です。

    ④ 一般建設業と特定建設業の違い

    建設業許可は、知事許可・大臣許可という区分とは別に、「一般建設業」と「特定建設業」に分かれています。

    この区分で重要なのは、会社の規模や請け負う工事そのものの金額ではなく、元請として工事を請け負った後、下請業者にどの程度の金額の工事を発注するのかという点です。

    発注者から直接工事を請け負った元請業者が、1件の工事について下請業者に施工させる工事の請負代金の合計額が5,000万円以上(建築一式工事の場合は8,000万円以上)となる場合には、その元請業者は原則として特定建設業の許可を受けていなければなりません。

    ここで注意したいのが、5,000万円・8,000万円という基準は、元請として受注した工事の金額ではないということです。

    例えば、発注者から1億円の電気工事を直接請け負ったとしても、その工事を自社で施工し、下請への発注額が5,000万円未満であれば、その金額だけを理由に特定建設業の許可が必要になるわけではありません。

    反対に、元請として6,000万円の管工事を請け負い、そのうち5,000万円以上を下請業者に施工させるのであれば、特定建設業の許可が必要となる可能性があります。

    また、この基準は1社の下請業者に発注する金額だけで判断するものではありません。

    一次下請として複数の業者に工事を発注する場合には、それらの下請契約の請負代金を合計して判断します。例えば、元請業者が一つの工事についてA社に3,000万円、B社に2,500万円の工事を発注するのであれば、下請代金の合計は5,500万円となります。

    一方、特定建設業の許可が問題になるのは、発注者から直接工事を請け負う元請業者です。

    自社が一次下請として元請業者から工事を請け負い、さらに二次下請へ5,000万円以上の工事を発注する場合であっても、そのことだけを理由として特定建設業の許可が必要になるわけではありません。

    ただし、一般建設業の許可しか持っていないからといって、大規模な工事そのものを受注できないわけではありません。一般建設業と特定建設業の違いは、基本的には元請として受注した工事について、一定額以上を下請に出すことができるかどうかにあります。

    なお、特定建設業では、一般建設業よりも営業所技術者等の資格要件や財産的基礎に関する要件が厳しく設定されています。また、下請業者の保護などを目的として、元請業者としてより重い責任も課されています。

    そのため、「大きな工事を受注するから特定建設業が必要」と単純に判断するのではなく、発注者から直接請け負う工事なのか、下請に出す金額はいくらになるのか、取得する業種は何かを確認したうえで、一般建設業と特定建設業のどちらが必要なのかを判断することが重要です。

    ⑤ 建設業は29業種|取得する許可業種を最初に確認する

    建設業許可を取得する際には、「建設業許可を持っているかどうか」だけでなく、実際に請け負う工事に対応した業種の許可を持っているかが重要です。

    建設業法では、建設工事を2つの一式工事と27の専門工事、合計29業種に区分しています。

    一式工事には「土木一式工事」と「建築一式工事」があり、そのほか、大工工事、左官工事、とび・土工・コンクリート工事、電気工事、管工事、塗装工事、防水工事、電気通信工事、解体工事などの専門工事があります。

    建設業許可は、この29業種ごとに取得します。

    そのため、例えば電気工事業の許可を取得している会社が、許可を必要とする規模の管工事を請け負う場合には、原則として別途、管工事業の許可が必要です。

    ここで特に誤解されやすいのが、「建築一式工事業の許可を持っていれば、すべての建築関係の専門工事を請け負える」という考え方です。

    建築一式工事は、建築物の新築など、複数の専門工事を組み合わせて総合的な企画、指導、調整のもとに建築物を完成させる工事を想定した業種です。

    建築一式工事業の許可を持っているからといって、それだけで500万円以上の電気工事、管工事、内装仕上工事などの専門工事を単独で請け負えるわけではありません。専門工事を単独で請け負うのであれば、原則としてその専門工事に対応する許可が必要です。

    土木一式工事についても同様です。「一式」という名称から、あらゆる土木系の専門工事を請け負える包括的な許可と考えないよう注意が必要です。

    また、実務では「この工事はどの業種に該当するのか」の判断が難しいケースがあります。

    工事の名称だけで許可業種が決まるわけではありません。例えば、同じ「設備工事」「改修工事」「修繕工事」と呼ばれていても、実際に施工する内容によって該当する業種は異なります。

    見積書や注文書に記載された工事名だけを見るのではなく、具体的にどのような施工を行うのかを確認して業種を判断することが重要です。

    さらに、これから建設業許可を取得する会社では、現在受注している工事だけでなく、今後受注する可能性のある工事も考えて許可業種を検討しておく必要があります。

    許可を取得した後になって、「実際に受注したい工事の業種が許可に入っていなかった」と分かれば、業種追加の申請が必要になります。その時点で営業所技術者等の要件を満たせなければ、希望する業種をすぐに追加できないこともあります。

    建設業許可を取得するときは、単に「許可が取れる業種」を選ぶのではなく、現在行っている工事、今後受注したい工事、営業所技術者等が担当できる業種を整理し、必要な許可業種を最初に検討することが大切です。

    第2章 建設業許可を取得するための6つの要件

    ① 建設業の経営経験があること|経営業務の管理責任者

    建設業許可を取得するための重要な要件の一つが、建設業について一定の経営経験を有する者を置くことです。

    建設業では、工事の受注から施工、資金繰り、下請業者との契約など、一般的な事業とは異なる経営上の判断が求められます。そのため建設業法では、許可を受ける建設業者について、適切な経営能力を備えた体制が確保されていることを求めています。

    実務上よく使われるのが、「経営業務の管理責任者(経管)」という言葉です。

    法人の場合は常勤の役員等のうち一人が、個人事業の場合は事業主本人または支配人が、建設業について一定期間の経営業務の管理責任者としての経験を有している場合などに、この要件を満たすことができます。

    代表的なのが、建設業に関して5年以上、経営業務の管理責任者としての経験を有しているケースです。

    例えば、建設会社の取締役として5年以上経営に携わっていた場合や、個人事業主として5年以上建設業を営んでいた場合などが考えられます。

    ここで重要なのは、現在取得しようとしている許可業種と、過去に経営していた建設業の業種が必ずしも同じである必要はないという点です。

    例えば、過去に内装仕上工事業を営む会社の取締役として必要な経営経験を積んでいた人が、新たに電気工事業の許可を取得する会社で経営業務の管理責任者になることも、経営経験の要件については可能です。

    一方で、単に建設会社に長期間勤務していたというだけでは、当然に経営経験として認められるわけではありません。

    従業員として現場作業や営業を担当していた期間と、取締役や個人事業主などとして建設業の経営に携わっていた期間とは区別して考える必要があります。

    また、建設業許可の審査では、「実際に5年以上経営していた」という本人の説明だけで要件が認められるわけではありません。

    その期間に役員や個人事業主などの立場にあったことに加えて、その会社や事業主が実際に建設業を営んでいたことなどを、客観的な資料によって証明する必要があります。

    特に、建設業許可を持っていなかった会社や個人事業での経営経験を使用する場合には、過去の工事実績を確認できる契約書、注文書、請求書などの資料が重要になります。

    さらに、兵庫県で申請する場合には、経営経験の期間だけではなく、その期間における常勤性を確認する資料が必要になるケースにも注意が必要です。

    「5年以上取締役として登記されているから大丈夫」と考えて申請準備を進めたものの、過去の常勤性や建設業を営んでいた事実を十分に証明できず、要件確認に時間がかかることもあります。

    そのため、建設業許可の取得を検討するときは、まず誰の、どの会社・事業での、何年間の経験を使うのか、そしてその経験をどの資料で証明できるのかまで確認することが重要です。

    なお、経営業務の管理責任者に関する要件には、5年以上の経営経験以外にも、一定の役員等に次ぐ職制上の地位での経験や、常勤役員等を直接補佐する者を置く体制によって要件を満たす方法があります。

    これらは要件や確認資料が複雑になるため、第3章で経営経験の具体的な証明方法とあわせて詳しく解説します。

    ② 技術者を営業所に配置すること|営業所技術者等

    建設業許可を取得するためには、経営体制に関する要件だけでなく、許可を受けようとする建設業について一定の資格や実務経験を持つ技術者を、営業所ごとに配置することが必要です。

    この技術者を、現在の建設業法では「営業所技術者等」といいます。

    営業所技術者等は、許可を受けようとする営業所に常勤し、建設工事の請負契約について技術的な観点から確認するなど、営業所における建設業務を技術面から支える重要な役割を担います。

    そのため、単に資格を持っている人が会社に在籍していればよいというものではありません。

    営業所技術者等になるためには、取得しようとする許可業種に対応した資格または実務経験等の要件を満たしていることが必要です。

    例えば、電気工事業、管工事業、建築工事業、内装仕上工事業では、それぞれ営業所技術者等として認められる資格や実務経験が異なります。

    一定の国家資格を持っている場合には、その資格によって要件を満たすことができます。一方、該当する資格を持っていなくても、学歴と実務経験の組合せや、一定期間以上の実務経験によって要件を満たせる場合があります。

    ここで、経営業務の管理責任者との大きな違いに注意が必要です。

    経営業務の管理責任者については、過去の建設業に関する経営経験が、現在取得しようとする業種と必ずしも同じ業種である必要はありません。

    これに対して営業所技術者等を実務経験によって証明する場合には、原則として取得しようとする建設業についての実務経験が必要です。

    例えば、内装仕上工事の経験を長年積んでいたとしても、その経験が当然に電気工事業の実務経験として認められるわけではありません。実際にどのような工事に従事していたのかを確認し、取得しようとする業種に対応する経験であるかを判断する必要があります。

    また、実務経験によって要件を満たそうとする場合には、本人が「10年以上現場で働いていた」と説明するだけでは足りません。

    その期間に実際に対象業種の建設工事に携わっていたことを、契約書、注文書などの客観的な資料によって証明する必要があります。

    特に過去に勤務していた会社での経験や、建設業許可を持っていない会社での経験を使用する場合には、当時の在籍状況や常勤性、その会社が実際に対象となる工事を行っていたことなど、複数の資料による確認が必要になることがあります。

    さらに、営業所技術者等には営業所への常勤性が求められます。

    そのため、単に資格者証を借りて名前だけを置くようなことは認められません。他社に常勤している人を自社の営業所技術者等として申請することも、原則としてできません。

    なお、営業所技術者等と、実際の工事現場に配置される主任技術者・監理技術者は別の制度です。

    一定の要件を満たす場合には営業所技術者等が現場の主任技術者等を兼ねることができる場合もありますが、「営業所技術者等になれる=どの現場でも自由に配置できる」というものではありません。工事の規模や請負形態などに応じて、現場配置に関する規定を別途確認する必要があります。

    建設業許可の申請では、営業所技術者等の要件を資格で満たせる場合は比較的確認しやすい一方、実務経験を使用する場合には、その経験を証明する資料の確認が非常に重要になります。

    したがって、申請準備を始める際には、誰を営業所技術者等にするのか、その人がどの業種を担当できるのか、資格と実務経験のどちらで要件を満たすのか、そして必要な証明資料が残っているのかまで確認しておくことが重要です。

    ③ 財産的基礎を満たしていること

    建設業許可を取得するためには、経営経験や営業所技術者等の要件に加えて、建設工事を適切に施工するために必要な財産的基礎または金銭的信用を有していることが求められます。

    建設工事では、工事代金を受け取る前に材料費や外注費、人件費などの支払いが発生することも少なくありません。そのため、建設業許可では、一定の資金面の要件が設けられています。

    この財産的基礎の要件は、一般建設業と特定建設業で大きく異なります。

    【一般建設業の場合】

    一般建設業の許可では、次のいずれかに該当することが必要です。

    ・自己資本の額が500万円以上であること

    ・500万円以上の資金を調達する能力があること

    ・許可申請直前の過去5年間、許可を受けて継続して建設業を営業した実績があること

    新規で建設業許可を取得する場合に、特に関係するのが最初の二つです。

    ここでよくある誤解が、「資本金500万円以上の会社でなければ建設業許可を取得できない」というものです。

    財産的基礎における500万円と、会社の登記上の資本金は同じものではありません。

    例えば、資本金100万円で設立した会社であっても、申請時の財務諸表で自己資本が500万円以上あれば要件を満たすことができます。また、自己資本が500万円未満の場合でも、金融機関が発行する残高証明書などによって500万円以上の資金調達能力を確認できれば、要件を満たすことができます。

    ただし、残高証明書を使用する場合には取得する時期に注意が必要です。

    兵庫県への申請では、残高証明書は証明日から1か月以内のものが必要となります。

    建設業許可の申請では、経営業務の管理責任者や営業所技術者等の要件確認、過去の経験を証明する資料の収集、申請書類の作成などに時間がかかることがあります。そのため、申請準備を始めた段階で残高証明書を取得してしまうと、実際に申請する頃には1か月を経過し、改めて取得しなければならなくなることがあります。

    残高証明書は早く取得すればよいというものではなく、その他の許可要件や必要書類の確認がおおむね終わり、申請時期の見通しが立ってから取得することが実務上のポイントです。

    また、反対に資本金を500万円として会社を設立したからといって、必ず財産的基礎の要件を満たすとは限りません。

    会社設立後の事業活動によって損失が発生している場合などには、申請時の財務内容を確認したうえで判断する必要があります。そのため、「資本金がいくらか」だけで財産的基礎を判断しないことが重要です。

    【特定建設業の場合】

    特定建設業については、多額の下請契約を締結する元請業者として下請業者を保護する必要があるため、一般建設業よりも厳しい財産的基礎が求められます。

    具体的には、申請時の財務内容について、次の基準をすべて満たす必要があります。

    ・欠損の額が資本金の20%を超えていないこと

    ・流動比率が75%以上であること

    ・資本金が2,000万円以上であること

    ・自己資本が4,000万円以上であること

    特定建設業の場合は、一般建設業のように、単に銀行口座に一定額以上の預金があることを残高証明書で示せば要件を満たせるというものではありません。

    そのため、特定建設業の新規取得や一般建設業から特定建設業への変更を検討する場合には、営業所技術者等の要件だけでなく、直前の決算内容が財産的基礎の基準を満たしているかについても、事前に確認しておく必要があります。

    また、特定建設業の財産的基礎は、新規申請時だけの要件ではありません。更新申請などの際にも、その時点で財産的基礎の基準を満たしていることが必要です。

    建設業許可の財産的基礎というと、「500万円を用意すれば許可が取れる」と考えられがちですが、実際には一般建設業なのか特定建設業なのか、現在の財務内容がどうなっているのかによって確認方法は異なります。

    許可申請の準備を始める際には、経営業務の管理責任者や営業所技術者等の人的要件だけでなく、決算書等を確認して財産的基礎を満たしているか、残高証明書が必要な場合にはいつ取得するのかまで含めて準備しておくことが重要です。

    ④ 誠実性の要件を満たしていること

    建設業許可を取得するためには、経営能力や技術力、財産的基礎だけでなく、請負契約に関して誠実に業務を行うことができることも求められます。これが建設業法第7条第3号および第15条第1号に定められている「誠実性」の要件です。

    具体的には、許可を受けようとする者が、請負契約に関して不正または不誠実な行為をするおそれが明らかな者でないことが必要です。

    法人の場合は、その法人だけでなく、役員等や一定の使用人についても誠実性が確認されます。個人事業主の場合も、本人や一定の使用人が対象となります。

    ここでいう「不正な行為」とは、請負契約の締結や履行に際して、詐欺、脅迫、横領など法律に違反する行為を行うことをいいます。

    一方、「不誠実な行為」とは、法律に違反する行為に限らず、工事内容、工期、天災等不可抗力による損害の負担など、請負契約に関する重要な事項について契約に違反する行為などが該当します。

    例えば、過去に建築士法や宅地建物取引業法などの規定により、不正または不誠実な行為を行ったことを理由として免許等の取消処分を受け、その最終処分の日から5年を経過していない場合には、原則として誠実性がないものとして取り扱われます。

    もっとも、過去に取引上のトラブルが一度あった、あるいは民事上の紛争になったというだけで、直ちに建設業許可を取得できなくなるというものではありません。

    誠実性の要件で問題となるのは、請負契約に関して不正または不誠実な行為をするおそれが明らかであるかどうかです。

    また、誠実性と次項で説明する「欠格要件」は似ているように見えますが、別の要件です。

    欠格要件では、一定の刑罰を受けたことや許可の取消処分を受けたことなど、建設業法第8条に定められた具体的な事由に該当するかを確認します。

    これに対して誠実性では、請負契約という建設業の営業そのものについて、適正な契約・履行を期待できる者であるかという観点から判断されます。

    建設業は、一件の契約金額が大きくなることも多く、元請・下請を含め多数の事業者が関係します。そのため、許可取得後も契約内容を明確にし、契約に従って適切に工事を履行していくことが重要です。

    建設業許可を取得する際には、資格や経験、財産面の要件だけに目を向けるのではなく、建設工事の請負契約を適正に締結し、誠実に履行できる事業者であることも許可要件の一つであると理解しておきましょう。

    ⑤ 欠格要件に該当していないこと

    建設業許可を取得するためには、これまで説明した要件を満たしているだけでなく、建設業法第8条に定められた「欠格要件」に該当していないことが必要です。

    経営業務の管理責任者として十分な経験があり、営業所技術者等の要件や財産的基礎を満たしていても、欠格要件に該当すれば建設業許可を受けることはできません。

    欠格要件にはさまざまなものがありますが、代表的なものとして、次のような場合があります。

    ・建設業許可の取消処分を受け、一定期間を経過していない場合

    ・営業停止を命じられ、その停止期間が経過していない場合

    ・営業を禁止され、その禁止期間中である場合

    ・禁錮以上の刑に処せられ、一定期間を経過していない場合

    ・建設業法や一定の法令に違反して罰金刑に処せられ、一定期間を経過していない場合

    ・暴力団員である場合や、暴力団員でなくなった日から一定期間を経過していない場合

    ・暴力団員等がその事業活動を支配している場合

    このほか、申請書や添付書類に重要な事項について虚偽の記載がある場合や、重要な事実の記載が欠けている場合も、許可を受けることができません。

    実務上、特に注意したいのが「会社に問題がなければ大丈夫」とは限らないという点です。

    法人で建設業許可を申請する場合、法人そのものだけではなく、その役員等についても欠格要件への該当の有無が確認されます。そのため、代表取締役には問題がなくても、他の取締役等が欠格要件に該当することで、会社として許可を受けられない場合があります。

    また、「昔のことだから関係ないだろう」と自己判断するのも危険です。

    例えば、一定の刑に処せられた場合には、刑の種類、違反した法令、刑の執行が終わった時期などによって欠格要件への該当性を判断する必要があります。

    執行猶予が付いている場合についても、「有罪判決を受けたから必ず5年間許可が取れない」と単純に判断することはできません。執行猶予期間中は欠格要件に該当する場合がありますが、執行猶予を取り消されることなくその期間を満了すれば、刑の言渡しは効力を失います。そのため、通常はそこからさらに5年間待たなければならないというものではありません。

    一方で、罰金刑であれば何でも欠格要件になるわけでもありません。罰金刑については、どの法律に違反して処罰されたのかを確認する必要があります。

    例えば、建設業法のほか、建築基準法、宅地造成及び特定盛土等規制法、労働基準法など、建設業法第8条で定められた一定の法令違反による罰金刑が問題となります。また、傷害罪など刑法上の一定の犯罪について罰金刑を受けた場合にも欠格要件に該当することがあります。

    そのため、過去に刑事処分を受けた役員等がいる場合には、単に「罰金だった」「執行猶予だった」という情報だけで判断せず、判決や略式命令の内容、罪名、根拠法令、刑の内容、刑の執行が終了した日などを確認して判断することが重要です。

    建設業許可申請では、役員等について身分証明書や登記されていないことの証明書などの必要書類を提出するとともに、欠格要件に関する申告を行います。

    申請後になって役員等の過去の処分が判明すると、許可申請そのものに大きな影響を及ぼす可能性があります。

    特に役員が複数いる法人では、申請準備の早い段階で対象となる役員等全員について欠格要件に該当する事情がないかを確認しておくことが重要です。判断が難しい事情がある場合には、自己判断で申請を進めず、処分内容を確認したうえで個別に検討する必要があります。

    第3章 経営経験・技術者要件をどう証明するのか

    ① 経営業務の管理責任者の経験は何で証明するのか

    経営業務の管理責任者の要件を満たしているかどうかは、単に「建設業を5年以上経営していた」という申告だけで判断されるものではありません。必要な期間について、建設業を経営していた事実を客観的な資料で証明する必要があります。

    法人の役員としての経験を使用する場合には、商業登記簿などによって役員であった期間を確認します。個人事業主としての経験であれば、確定申告書などによって事業主として営業していた期間を確認します。

    さらに、その期間に実際に建設業を営んでいたことについても証明が必要です。

    過去に建設業許可を受けていた事業者であれば、許可通知書などによって確認できる場合があります。一方、建設業許可を受けていない事業者での経験を使用する場合には、工事請負契約書、注文書など、実際に建設工事を請け負っていたことが分かる資料が必要になります。

    兵庫県では、これらに加えて、経験期間中に常勤していたことを確認する資料が必要となる場合があります。

    そのため、「役員として5年以上登記されているから大丈夫」と考えるのではなく、役員等としての地位、建設業を営んでいた実績、必要に応じて当時の常勤性まで証明できるかを申請前に確認しておくことが重要です。

    特に古い経営経験を使用する場合には、当時の契約書や注文書、確定申告書などが残っていないこともあります。建設業許可の取得を検討する際には、まず経験年数だけでなく、その期間を証明できる資料が現在も残っているかを確認することが実務上の重要なポイントです。

    ② 資格がなくても営業所技術者等になれる?実務経験による証明

    営業所技術者等になるためには、必ずしも国家資格が必要というわけではありません。一般建設業の場合、取得しようとする業種について一定期間の実務経験を証明することで、営業所技術者の要件を満たせる場合があります。

    代表的なのが、許可を受けようとする建設業について10年以上の実務経験を有する場合です。また、指定された学科を卒業している場合には、高校等卒業後5年以上、大学・高等専門学校等卒業後3年以上など、必要な実務経験期間が短縮される場合があります。

    ここでいう実務経験とは、単に建設会社に勤務していた期間ではありません。実際に取得しようとする業種の建設工事に関する技術上の経験が必要です。

    例えば、内装仕上工事業の営業所技術者になろうとする場合、長期間建設会社に在籍していたとしても、その期間に内装仕上工事に携わっていたことを確認できなければ、実務経験として認められないことがあります。

    また、複数の業種について実務経験で営業所技術者の要件を満たそうとする場合には、同じ期間を複数の業種の実務経験として重複して使用することは原則としてできない点にも注意が必要です。

    例えば、同じ年に大工工事と内装仕上工事の両方に携わっていたとしても、その1年間を大工工事業と内装仕上工事業の双方について、それぞれ1年の実務経験として重複して計算することはできません。

    そのため、10年の実務経験によって複数業種の許可取得を考えている場合には、単に建設業に従事してきた年数を見るのではなく、どの期間をどの業種の実務経験として使用するのかを整理する必要があります。

    実務経験で申請する場合には、実務経験証明書を作成するだけでなく、その内容を裏付ける資料も必要です。兵庫県では、過去の建設業許可の状況や工事請負契約書、注文書などによって、必要な期間に対象業種の工事を行っていたことを確認します。

    また、過去に勤務していた会社での経験を使用する場合には、その会社に在籍していたことや、当時の常勤性を確認する資料も必要となります。

    実務経験による申請では、「経験年数は十分あるが、それを証明する資料が残っていない」という問題も少なくありません。資格を使わずに営業所技術者等の要件を満たそうとする場合には、必要な経験年数だけでなく、その期間をどの資料で証明できるのかまで確認してから申請準備を進めることが重要です。

    ③ 過去に勤めていた会社での経験を使う場合の注意点

    営業所技術者等の実務経験は、現在の会社で積んだ経験だけでなく、過去に勤務していた会社での経験を使用することも可能です。

    ただし、以前の会社に10年以上勤めていたという事実だけでは、実務経験の証明にはなりません。兵庫県で申請する場合には、必要な期間について、その会社に常勤していたことと、取得しようとする業種の工事に実際に携わっていたことを確認できる資料が必要になります。

    勤務していたことについては、健康保険や厚生年金の記録など、当時の在籍・常勤性を確認できる資料を使用します。工事経験については、過去の建設業許可の状況や工事請負契約書、注文書などによって確認します。

    ここで問題になりやすいのが、以前の勤務先から必要な資料を入手できないケースです。

    退職してから長期間経過している、会社が廃業している、以前の勤務先に資料提供を依頼できないといった事情があると、実際には十分な経験があっても、その経験を証明できないことがあります。

    また、過去の勤務先が建設業許可を受けていた場合でも、その会社が取得していた許可業種と、自分が証明したい実務経験の業種が一致しているかを確認することも重要です。

    実務経験によって営業所技術者等の要件を満たそうとする場合には、経験年数だけで判断せず、過去の勤務先について、必要な期間・業種・常勤性を証明できる資料が揃うかを早い段階で確認しておきましょう。

    ④ 無許可業者での経営経験・実務経験を証明する場合

    建設業許可を持っていなかった会社や個人事業主での経験であっても、軽微な建設工事を適法に行っていた期間であれば、経営業務の管理責任者の経営経験や営業所技術者等の実務経験として認められる場合があります。

    ただし、許可業者での経験と異なり、建設業許可の記録から工事業種や営業実績を確認することができません。そのため、兵庫県では、契約書や注文書などによって、実際に建設工事を請け負っていたことを証明する必要があります。

    営業所技術者等の実務経験として使用する場合には、単に建設工事をしていたことだけでなく、取得しようとする許可業種に該当する工事であったことも確認されます。

    また、無許可業者である以上、その期間に請け負っていた工事は原則として軽微な建設工事の範囲内でなければなりません。証明資料として提出した契約書や注文書から、当時、本来必要であった建設業許可を受けずに工事を請け負っていたことが判明すれば、別の問題が生じる可能性があります。

    そのため、無許可業者での経験を使用する場合には、経験年数だけでなく、工事業種、請負金額、材料支給の有無なども確認したうえで証明資料を整理することが重要です。

    実際には十分な経験があっても、古い注文書等を処分してしまい、必要な期間を証明できないケースもあります。将来的に実務経験や経営経験を使って建設業許可を取得する予定がある場合には、軽微な工事であっても契約書や注文書などの工事実績を証明できる資料を残しておくことが大切です。

    ⑤ 常勤性の証明と兵庫県で申請する際の注意点

    建設業許可では、経営業務の管理責任者や営業所技術者等について、要件となる経験や資格だけでなく、申請する営業所に常勤していることも重要です。

    常勤とは、原則として、その営業所において休日その他勤務を要しない日を除き、一定の計画のもとに毎日所定の時間中、その職務に従事していることをいいます。

    兵庫県では、常勤性について、健康保険・厚生年金保険の加入状況や住民税の特別徴収に関する資料など、申請者の状況に応じた確認書類によって審査されます。

    特に注意したいのが、現在の常勤性だけでなく、過去の経営経験や実務経験を使用する際に、その当時の常勤性の確認を求められる場合があることです。

    例えば、過去に建設会社の取締役として5年以上登記されていても、兵庫県への申請でその期間の常勤性を証明する必要がある場合には、登記事項証明書だけでは足りません。当時その会社に常勤していたことを確認できる資料も準備する必要があります。

    また、他社の常勤役員や従業員となっている場合など、現在の勤務状況によっては、自社の経営業務の管理責任者や営業所技術者等として常勤しているとは認められないことがあります。

    このため、兵庫県で建設業許可を申請する際には、「要件を満たす経験があるか」だけでなく、「現在および必要な過去の期間について常勤性をどの資料で証明するのか」まで確認しておくことが重要です。

    特に古い経験を使用する場合には、当時の常勤性を証明する資料が残っているかを早めに確認しておきましょう。

    第4章 兵庫県で建設業許可を申請する流れと必要書類

    ① まず許可業種と申請要件を確認する

    建設業許可の申請準備を始める際には、いきなり申請書を作成するのではなく、まずどの業種の許可が必要なのか、その業種について許可要件を満たしているのかを確認します。

    最初に、現在請け負っている工事や今後受注する予定の工事を整理し、29業種のうちどの許可が必要になるのかを判断します。工事名だけでは判断が難しい場合には、実際の施工内容まで確認することが重要です。

    取得する業種が決まったら、経営業務の管理責任者、営業所技術者等、財産的基礎、誠実性、欠格要件などを順番に確認します。

    特に時間がかかりやすいのが、経営経験や実務経験を使って要件を満たす場合の証明資料の確認です。経験年数が足りていても、過去の注文書や常勤性を確認する資料などが揃わなければ、その経験を申請に使用できないことがあります。

    また、営業所についても、建設業を営む営業所としての実態が必要です。自宅や賃貸物件を営業所とする場合には、使用権限や営業所の状況について確認が必要になることがあります。

    したがって、申請書類の作成に着手する前に、「必要な許可業種は何か」「誰を経営業務の管理責任者・営業所技術者等とするのか」「その要件を何で証明するのか」「営業所や財産的基礎に問題がないか」まで確認しておくことが大切です。

    ここまで確認できてから必要書類の収集と申請書の作成に進むことで、申請直前になって要件を満たせないことが判明するリスクを減らすことができます。

    ② 建設業許可申請で必要となる主な書類

    建設業許可の申請では、申請書だけでなく、許可要件を満たしていることを確認するためのさまざまな書類が必要になります。

    主なものとして、法人の場合には、登記事項証明書、定款、財務諸表、納税証明書などがあります。さらに、経営業務の管理責任者や営業所技術者等について、経験や資格、常勤性を確認するための資料を準備します。

    例えば、経営経験を使用する場合には、過去の役員期間を確認できる登記事項証明書や、建設業を営んでいたことを確認するための許可関係書類、工事請負契約書、注文書などが必要になることがあります。

    営業所技術者等についても、資格によって要件を満たす場合には資格証明書等を、実務経験による場合には実務経験証明書と、その内容を裏付ける工事関係資料などを準備します。

    また、営業所については、営業所の実態や使用権限を確認するための資料や写真が必要になります。賃貸物件の場合には、賃貸借契約の内容についても確認しておきましょう。

    必要となる書類は、法人・個人の別、新規・更新・業種追加といった申請の種類、経営経験や技術者要件をどのように証明するかによって異なります。

    さらに、登記事項証明書や納税証明書、残高証明書などには、申請時に求められる有効期間があります。必要書類をすべて最初に取得するのではなく、有効期間のある書類は申請予定日から逆算して取得することも重要です。

    兵庫県で申請する場合には、最新の「建設業許可申請等の手引き」と確認書類を確認し、自社の申請内容に必要な書類を整理してから収集を始めると、期限切れや取得漏れを防ぎやすくなります。

    ③ 兵庫県の手引き・記載例を使って申請書を作成する

    建設業許可の申請書は全国共通の様式が中心ですが、確認書類や具体的な取扱いには許可行政庁による違いがあります。兵庫県知事許可を申請する場合には、兵庫県が公開している最新の手引きや確認書類を確認しながら作成することが重要です。

    申請書には、商号・所在地・役員・営業所・許可を受けようとする業種のほか、経営業務の管理責任者や営業所技術者等に関する事項など、多くの情報を記載します。

    ここで重要なのは、申請書だけを正しく記載すればよいわけではないという点です。申請書に記載した内容と、登記事項証明書、定款、財務諸表、資格証明書、経験を裏付ける資料などとの間に矛盾がないことも確認する必要があります。

    特に、経営経験や実務経験を使用する場合には、先に申請書を作成するのではなく、実際に提出できる確認資料を調べたうえで、証明できる期間に合わせて申請書を作成することが大切です。

    また、以前に別の都道府県で建設業許可を申請した経験がある場合でも、そのときと同じ確認資料や記載方法で兵庫県でも受け付けられるとは限りません。

    兵庫県知事許可を申請する場合には、兵庫県の最新の手引き・確認書類・記載例を基準として作成し、不明な点があれば申請前に確認することで、受付時の補正や申請後の追加資料をできるだけ減らすことができます。

    ④ 申請書類を提出してから許可が出るまでの流れ

    申請書類と確認資料の準備が整ったら、管轄する窓口へ建設業許可申請を行います。

    兵庫県知事許可の場合は、主たる営業所の所在地を管轄する土木事務所等が申請窓口となります。申請先を間違えないよう、事前に管轄を確認しておきましょう。

    申請が受け付けられると、提出した書類をもとに、経営業務の管理責任者、営業所技術者等、財産的基礎、営業所の実態など、建設業許可の要件を満たしているかについて審査が行われます。

    審査の過程で、記載内容の確認や追加資料の提出、補正を求められることもあります。特に経営経験や実務経験によって要件を証明する場合には、提出した資料だけでは判断できず、追加の説明や資料を求められることがあります。

    また、申請書が受付されたことと、許可が認められたことは別です。受付後の審査で許可要件を満たしていないことが判明すれば、不許可となる可能性もあります。

    そのため、「とりあえず申請して、不足する資料は後から出せばよい」と考えるのではなく、申請前に許可要件と確認資料を十分に確認しておくことが重要です。

    審査が完了し、許可要件を満たしていることが確認されると建設業許可がなされ、許可通知書が交付されます。

    なお、工事の受注予定が決まっている場合には、許可が必要となる工事の契約時期から逆算して、余裕をもって申請を進めることが大切です。申請したその日から許可業者として営業できるわけではないため、許可取得を前提とした工事を予定している場合は特に注意しましょう。

    ⑤ 補正・不許可を防ぐために申請前に確認したいポイント

    建設業許可申請では、書類の記載漏れや添付書類の不足であれば、補正によって対応できる場合があります。しかし、許可要件そのものを満たしていなければ、申請後に書類を追加するだけでは解決できません。

    そのため、申請前にはまず、経営業務の管理責任者や営業所技術者等の要件を満たしているか、その経験を必要な資料によって証明できるかを確認しておくことが重要です。

    特に実務経験や経営経験を使用する場合には、「経験年数は足りているはず」という見込みだけで申請を進めず、必要な期間について実際に提出できる証明資料が揃っているかまで確認しておきましょう。

    また、申請書と登記事項証明書、定款、財務諸表などの内容に相違がないか、証明書類の有効期限が切れていないかについても提出前に確認します。

    注意したいのは、申請が受付されたからといって、後から不足する許可要件を補えばよいわけではないことです。申請時点で許可要件を満たしていることを前提として審査が行われます。

    申請直前になって要件の問題が判明すると、工事の受注予定にも影響する可能性があります。申請書を完成させることよりも先に、「許可要件を満たしていること」と「それを証明できること」の二つを確認しておくことが、スムーズな許可取得につながります。

    第5章 建設業許可を取得した後に必要となる手続き

    ① 許可取得後も毎年必要|決算変更届は4か月以内

    建設業許可は、取得すればその後何もしなくてよいものではありません。許可業者にはさまざまな届出義務があり、その中でも毎年必要となるのが決算変更届(決算報告)です。

    決算変更届は、事業年度が終了してから4か月以内に提出しなければなりません。法人だけでなく、建設業許可を受けている個人事業主についても毎年提出が必要です。

    決算変更届では、工事経歴書、直前3年の各事業年度における工事施工金額、財務諸表、事業報告書(株式会社の場合)、納税証明書などを提出します。

    ここで注意したいのが、税務署へ決算申告をしていれば建設業の決算変更届も済んでいる、というわけではないことです。税務申告とは別に、建設業法に基づく届出を行う必要があります。

    また、「5年後の更新時にまとめて提出すればよい」と考えるのも適切ではありません。決算変更届には毎事業年度の提出期限があり、本来はその都度提出しなければなりません。

    特に、連結決算を行っている会社や上場会社などでは、決算確定から4か月以内という期間が短く感じられる場合があります。建設業用の財務諸表への組替えや工事経歴書の作成も必要になるため、決算確定後に準備を始めるのではなく、事前に必要資料や社内の作業スケジュールを整理しておくことが重要です。

    決算変更届は更新申請や業種追加の際にも提出状況を確認されます。期限直前になって過年度分の未提出が判明しないよう、毎年の決算手続きの一つとして提出期限を管理しておきましょう。

    ② 役員・営業所・経営業務の管理責任者等が変わった場合

    建設業許可を取得した後、会社の役員や営業所など、申請内容に変更が生じた場合には、変更届の提出が必要になることがあります。

    代表的なものとして、商号・名称、営業所の所在地、資本金、役員等の変更があります。また、経営業務の管理責任者に変更があった場合にも、所定の期限内に届出が必要です。

    注意したいのは、変更事項によって届出期限が異なることです。例えば、経営業務の管理責任者に関する変更などは原則として変更後2週間以内、商号・営業所・役員等の変更は原則として変更後30日以内に届け出る必要があります。

    特に重要なのが、許可要件に関係する人の変更です。

    例えば、経営業務の管理責任者となっている役員が退任する場合、単に退任後に変更届を提出すればよいわけではありません。後任者が要件を満たしていなければ、会社が建設業許可の要件を欠くことになります。

    そのため、役員の退任や人事異動を予定している場合には、変更してから考えるのではなく、事前に後任者が許可要件を満たしているかを確認することが重要です。

    また、営業所を移転する場合にも、登記上の所在地を変更するだけではなく、移転先が建設業を営む営業所として使用できる状態にあるかを確認しておく必要があります。

    建設業許可を維持するためには、変更届を期限内に提出することはもちろん、人事や組織変更によって許可要件そのものを欠くことがないよう、変更前に建設業許可への影響を確認しておくことが大切です。

    ③ 営業所技術者等が退職するときに注意すべきこと

    建設業許可を維持するうえで、特に注意が必要なのが営業所技術者等の退職や異動です。

    営業所技術者等は、許可を受けている営業所ごと、業種ごとに必要な許可要件です。そのため、営業所技術者等が退職し、後任者がいない状態になると、その業種について許可要件を満たさなくなります。

    「退職してから新しい技術者を探せばよい」と考えるのは危険です。営業所技術者等は継続して配置する必要があるため、一日でも空白期間が生じないよう、退職日までに後任者を確保しておくことが重要です。

    後任者については、単に資格を持っているかだけでなく、取得している許可業種に対応する資格・実務経験を有しているか、営業所に常勤できるかまで確認する必要があります。

    特に実務経験によって営業所技術者等になる場合には、経験年数の確認だけでなく、過去の工事実績や常勤性を証明する資料の確認にも時間がかかることがあります。

    また、一人の営業所技術者等が複数の許可業種を担当している会社では、その人が退職すると、複数業種について同時に許可要件を欠く可能性があります。

    営業所技術者等の退職・異動が予定されている場合には、人事異動を決定する前に、現在どの業種を担当しているのか、後任者がそのすべての業種について要件を満たしているのかを確認しておくことが大切です。

    さらに、建設業許可を安定して維持するためには、退職者が出てから後任者を探すのではなく、資格取得や実務経験の蓄積も含めて、将来を見据えた人材育成を進めておくことも重要です。

    現在の人員で許可要件を継続して満たせるのか、今後の人事・育成計画が建設業許可の維持という観点から適切なのか判断が難しい場合には、建設業許可に詳しい行政書士などの専門家に相談することをおすすめします。

    ④ 建設業許可は5年ごとに更新が必要

    建設業許可の有効期間は5年間です。引き続き建設業を営む場合には、有効期間が満了する前に更新申請を行う必要があります。

    兵庫県知事許可では、更新申請は許可満了日の3か月前から受け付けられ、原則として満了日の30日前までに申請することとされています。

    更新申請だけであれば、30日前を過ぎても有効期間内であれば受け付けてもらえる場合があります。ただし、書類の不備や未提出の届出が判明すると、期限までに手続きが完了できないおそれがあるため、早めに準備を始めることが重要です。

    特に確認しておきたいのが、過去5年間の決算変更届や各種変更届が適切に提出されているかという点です。未提出の届出がある場合には、それらを整理したうえで更新申請を行う必要があります。

    また、更新時には、経営業務の管理責任者や営業所技術者等について、現在も許可要件を満たしているかを確認しておきましょう。

    さらに、更新申請と同時に業種追加を行う場合には、許可満了日の30日前までに申請するという原則を守る必要があります。

    通常の更新だけであれば30日前を過ぎても受け付けてもらえる場合がありますが、業種追加を更新と同時に行う場合には同じようには扱われません。そのため、更新に合わせて新しい業種の追加を考えている場合には、営業所技術者等の要件や実務経験の証明資料などを早めに確認し、30日前までに申請できるよう準備しておくことが重要です。

    特に実務経験によって業種を追加する場合には、証明資料の確認に時間がかかることがあるため、更新時期が近づいてから準備を始めるのでは遅い場合があります。

    また、許可の有効期間を1日でも過ぎてしまうと、更新ではなく新規申請となります。新たな許可を受けるまでの間は、許可を必要とする工事を請け負うことができなくなるため注意が必要です。

    建設業許可は取得して終わりではありません。毎年の決算変更届、変更事項の届出、5年ごとの更新を一連の許可管理としてスケジュール化しておくことが、許可を切らさず維持するための基本です。

    ⑤ 許可を維持するために日頃から管理しておきたい書類

    建設業許可を維持していくためには、申請や更新の時期だけ書類を準備するのではなく、日頃から必要な資料を整理・保管しておくことが重要です。

    特に、工事請負契約書、注文書・請書などの工事内容や請負金額が確認できる資料は、適切に保存しておきましょう。これらは毎年の決算変更届の作成だけでなく、将来、営業所技術者等の実務経験を証明するときに必要になることがあります。

    また、役員や従業員については、資格証明書や雇用関係・常勤性を確認できる資料なども整理しておくと、営業所技術者等の変更や業種追加を行う際に確認しやすくなります。

    特に注意したいのが、将来の許可業種の追加や人員交代を見据えた資料管理です。

    現在は資格を持っていない従業員でも、将来、実務経験によって営業所技術者となる可能性があります。そのときになって過去の工事資料が残っていなければ、実際には十分な経験があっても、その経験を証明できないことがあります。

    そのため、現在の許可を維持するための書類だけでなく、誰がどの資格を持っているのか、どの業種の実務経験を積んでいるのか、将来どの業種を担当できる人材を育成するのかについても継続的に管理しておくことが大切です。

    建設業許可の管理は、5年に一度の更新手続きだけではありません。日頃から工事資料や人員・資格に関する情報を整理しておくことで、突然の退職や業種追加にも対応しやすくなります。

    許可の維持や将来の業種追加を見据えて、どのような書類を残すべきか、人材育成をどのように進めるべきか判断が難しい場合には、建設業許可に詳しい行政書士などの専門家に相談することをおすすめします。

    第6章 一人親方・個人事業主が建設業許可を取得する方法

    ① 一人親方でも建設業許可は取得できる

    建設業許可は法人だけを対象とした制度ではありません。一人親方や個人事業主であっても、許可要件を満たしていれば個人名義で建設業許可を取得することができます。

    一人親方の場合でも基本的な許可要件は法人と同じで、経営業務の管理責任者、営業所技術者等、財産的基礎、誠実性、欠格要件などを満たす必要があります。

    一人親方の場合は、事業主本人が経営業務の管理責任者と営業所技術者を兼ねるケースが多くあります。

    例えば、個人事業主として5年以上建設業を営んできた経験があり、取得したい業種に対応する国家資格を持っている場合には、本人が両方の要件を満たせる可能性があります。

    国家資格を持っていない場合でも、取得する業種について必要な実務経験を証明することで、営業所技術者の要件を満たせる場合があります。

    ただし、一人親方の場合に問題になりやすいのが、これまでの経営経験や実務経験を証明する資料が残っているかという点です。

    長年建設業を営んでいても、口頭で仕事を受注しており、注文書や請負契約書などをほとんど残していない場合には、許可申請の際に経験を証明することが難しくなることがあります。

    また、「500万円未満の工事しか請け負わないから今は許可が必要ない」という一人親方であっても、将来的に元請から許可取得を求められたり、500万円以上の工事を受注したりする可能性があります。

    将来の許可取得を考えているのであれば、許可が必要になってから準備を始めるのではなく、現在から工事関係書類を適切に保存し、必要な経験を証明できる状態にしておくことが重要です。

    ② 一人親方が経営業務の管理責任者になるための条件

    一人親方が建設業許可を取得する場合、事業主本人の経験を使って経営業務の管理責任者の要件を満たすケースが多くあります。

    代表的なのは、個人事業主として建設業について5年以上の経営経験がある場合です。この経営経験については、現在許可を取得しようとしている業種と同じ業種である必要はありません。

    例えば、大工工事を個人事業として5年以上営んできた一人親方が、新たに内装仕上工事業の許可を取得する場合でも、大工工事業での経験を建設業の経営経験として使用することができます。

    ただし、単に「一人親方として5年以上働いている」というだけでは足りません。個人事業主として建設業を経営していたことを資料によって証明できることが必要です。

    兵庫県で申請する場合には、確定申告書などによって個人事業主としての期間を確認するとともに、工事請負契約書や注文書などによって、その期間に実際に建設業を営んでいたことを確認します。

    特に注意したいのが、会社に雇用されて職人として働いていた期間です。建設工事の経験が長くても、従業員として勤務していた期間は、そのまま個人事業主としての経営経験になるわけではありません。

    そのため、一人親方としての経験を使って許可取得を考える場合には、まず開業時期を確認し、必要な5年間について確定申告書や工事関係資料が残っているかを確認することが重要です。

    ③ 資格がない一人親方が営業所技術者等になる方法

    一人親方が建設業許可を取得する際、取得したい業種に対応する国家資格を持っていなくても、一定の実務経験を証明することで営業所技術者の要件を満たせる場合があります。

    代表的なのが、取得しようとする建設業について10年以上の実務経験がある場合です。また、指定学科を卒業している場合などには、必要な実務経験年数が短縮されることがあります。

    一人親方として自ら施工してきた工事についても実務経験として使用できますが、重要なのは、その期間に対象業種の工事を実際に行っていたことを証明できるかという点です。

    兵庫県で実務経験を証明する場合には、工事請負契約書や注文書など、工事内容や期間を確認できる資料が必要になります。

    また、複数業種について実務経験で要件を満たそうとする場合には、同じ期間を複数の業種について重複して使用することは原則としてできません。

    例えば、大工工事と内装仕上工事の両方を10年間行ってきたとしても、その10年間をそのまま両方の業種について10年の実務経験として使用できるわけではありません。

    一人親方の場合、長年現場で仕事をしていても、注文書や契約書などを十分に保存していないケースがあります。将来、資格ではなく実務経験によって建設業許可を取得することを考えているのであれば、日頃から工事内容を確認できる資料を残しておくことが重要です。

    ④ 一人親方の経験を証明するために残しておきたい書類

    一人親方が将来、経営経験や実務経験を使って建設業許可を取得する場合には、実際に建設業を営み、対象となる工事を行っていたことを証明できる資料が重要になります。

    特に残しておきたいのが、工事請負契約書、注文書・請書など、工事の内容、請負金額、工事時期、発注者などが確認できる書類です。

    一人親方の場合、元請会社から電話や口頭で仕事を依頼され、請求書だけを発行しているケースもあります。しかし、許可申請で経験を証明するときには、請求書だけでは工事内容や契約関係を十分に確認できない場合があります。

    また、経営業務の管理責任者としての経験を使用する場合には、確定申告書など、その期間に個人事業主として事業を行っていたことを確認できる資料も大切です。

    こうした書類は、許可が必要になってから過去にさかのぼって集めようとしても、元請会社に資料が残っていなかったり、取引先と連絡が取れなくなっていたりして、入手できないことがあります。

    実際には10年以上の経験があっても、必要な資料が残っていなければ、そのすべてを許可申請上の経験として使用できるとは限りません。

    将来的に建設業許可の取得を考えている一人親方は、「経験を積むこと」と同時に「その経験を証明できる書類を残すこと」も意識して、工事関係資料や確定申告関係資料を整理・保管しておくことが重要です。

    ⑤ 将来の許可取得を考えている一人親方が今から準備すべきこと

    現在は軽微な建設工事だけを請け負っており、建設業許可を必要としていない一人親方でも、将来は500万円以上の工事を受注したり、元請会社から許可取得を求められたりすることがあります。

    そのときになって初めて準備を始めると、経験年数は足りているのに、それを証明する資料がないため許可を取得できないということもあります。

    将来の許可取得を考えている場合には、まず工事請負契約書や注文書・請書などを保存し、いつ、どの業種の工事を行ったのかを後から確認できる状態にしておくことが重要です。

    また、実務経験だけに頼るのではなく、取得したい許可業種に対応する資格がある場合には、資格取得を検討することも有効です。資格を取得することで、営業所技術者の要件を満たしやすくなるだけでなく、複数業種の許可取得につながる場合もあります。

    さらに、将来法人化する予定がある場合には、個人事業から法人への移行時期や、誰を経営業務の管理責任者・営業所技術者等とするのかについても事前に検討しておくと、許可取得をスムーズに進めやすくなります。

    建設業許可は、必要になってからすぐに取得できるとは限りません。将来受注できる工事の幅を広げたいのであれば、工事資料の保存、必要な経験の蓄積、資格取得などを計画的に進めておくことをおすすめします。

    自分があと何年の経験を積めば許可要件を満たせるのか、どの資格を取得すれば希望する業種の許可を取得できるのかなど、今後の計画を立てることが難しい場合には、早い段階で建設業許可に詳しい行政書士などの専門家に相談しておくことも有効です。

    建設業許可手続きセンター (行政書士こうべ元町事務所)

    該当ガイドラインを熟知した行政書士が、全国の建設業を営む皆様のご相談を受け付けています。建設業許可の申請や業種追加など、円滑な業務を支えるための複雑な手続きをサポートする事務所を兵庫に構えています。

    建設業許可手続きセンター (行政書士こうべ元町事務所)

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