行政書士こうべ元町事務所

無許可で万博会場設営の業者の家宅捜査記事を読んで思うこと

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無許可で万博会場設営の業者の家宅捜査記事を読んで思うこと

無許可で万博会場設営の業者の家宅捜査記事を読んで思うこと

2025/08/14

大阪・関西万博のアンゴラパビリオンの工事を無許可で請け負った疑いで、大阪府警はきょう=13日、建設業者に家宅捜索に入った。

 

との報道に申請を業としている行政書士として違和感を感じた。

 

大阪府警がアンゴラパビリオンの建設で下請け業者として入っていた会社の社長の自宅などを建設業法違反の疑いで家宅捜査したとのこと。無許可で1億2000万円の工事を受注したとのことで建設会社には30日間の営業停止処分が下されている。

 

下請け業者として入っていたということは、発注した上位業者がいるはず、その会社は無許可業者との取引なのでこちらも処分を受けているはず。大阪府のHPを確認したが、令和7年8月現在、処分の公表は3月までとのことで確認できず。

 

取材に対し会社の社長は、

『すぐ申請してくれ』というのは、担当者に伝えていたが、うやむやにされつつ、『まだ出せません、まだ出せません』という形で…

出せないということは、要件が充足できていないということかと想定できる。うやむやを放置していた社長の問題意識の欠如が見える。

 

免許持っていないから、あかんのはわかるけど、今僕ら抜けると確実に終わらない。工期が終わらない。

普通に申請したら、許可下りるのに1ヶ月以上はかかる。今僕ら抜けるとって、申請準備と並行して受注していることがもう既に問題。元請には建設業許可者として無許可業者との取引には専門家責任を加重させるべきかな。

 

社長は「許可の申請を任せていた経理担当者が申請を怠っていて開幕に間に合わせるために無許可での工事は仕方なかった」と釈明した。

経理担当者云々ではなく、元請の監督とこの社長の順法精神のなさが招いたこと。全く仕方なくはないので同情の余地はない。

 

さらに、

申請を怠っていた”とされる元経理担当者の男性は、申請を頼んでいた建築士と仲たがいをし、許可の申請ができなくなったと主張した。

申請を何で建築士に頼んでいるのか?建設業の許可申請は行政書士以外が依頼を受けて作成提出してはいけない書類であることから、この建築士も行政書士法に違反している。さらに今回の受注に当たり許可申請が非常にタイトで絶対に許可が必要であるということを認識できていないと思われる。

 

元経理担当者:(去年)11月、12月ぐらいから申請書作り出して。2月に『出せますよ』という段階になったときに、『許可使わせません』と。それで(免許)取れなくなる流れです。

「許可使わせません」というのは意味がわからない。「出しても許可が下りません」が正しいと思われる。

また、2月に出して、3月半ばに許可が下りても、4月開幕には間に合わない。言い訳が言い訳になっていない。

 

またこの件に関しては

下請け業者に対し合わせておよそ1億円が未払いになっている問題もある。

下請け業者:『お支払いは全然問題なくできますよ』という話を受けていたので、いざ蓋開けてみたら入金がない。

この下請け会社は建設業者なのか?許可業者が無許可業者の下請けに入っているなら、専門家責任が加重され自業自得だと思われるし、無許可業者であればこの会社同様の処分がされていなければならない。

 

社長は経理担当だった男性が会社の口座からおよそ1億2000万円を横領したと主張し男性を刑事告訴する事態となっている。

建設業法では

下請け業者は元請のさらに上位の元請に対し、自社の施工分(特に人件費)の請求をすることができるが、それは上位業者への支払いがなされていない場合に限られる。つまり、今回は支払いはなされていると考えられることから、上位元請への請求も難しいといわざるを得ない。

 

じゃあどうすればよかったのか?

受注を断る。これ一択です。そうならないためにも許可の整備は建設業者として最重要と認識する。

 

そのうえで、じゃあ今回工事を間に合わせるためにどうすればよかったのか?を検討します。

 

この会社が3次業者とのことですので、

許可を取れたら、請負契約を結ぶが、それまでは従業員は休職の上、2次業者に転籍(期間雇用でOK)、2次業者の直用として工事の施工に関与。許可が取れたら自社に戻り、請負として受注。会社利益分はその際に上乗せ。不当に低い下請け金額は19条の3で禁止されているが、不当に高い下請け金額は問題はありません。

下請け業者や、従業員を直接つなぐと自社の利益の確保が難しい云々の回答があるかもしれません。

その部分を重視するのであれば、受注すべきでないし、社会的意義を考え工事の完成に協力するというのであれば、そこまで考えるべきであったろうと思います。

さらに11月ごろから申請準備に入ったなら、申請可能かどうかはプロに確認すればすぐに判断がついたはず、そこで要件を充足する努力をしていれば今回のようなことは起こらなかったといえるでしょう。

 

 

 

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