行政書士こうべ元町事務所

【兵庫県版】建設工事の入札格付け制度を徹底解説!~評価のカギは“技術”と“社会貢献”~

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【兵庫県版】建設工事の入札格付け制度を徹底解説!~評価のカギは“技術”と“社会貢献”~

【兵庫県版】建設工事の入札格付け制度を徹底解説!~評価のカギは“技術”と“社会貢献”~

2025/05/15

はじめに

公共工事の受注を目指す建設業者にとって、「入札格付け」は避けて通れないキーワードです。兵庫県では、経営事項審査の総合評定値に加え、独自の“技術評価”や“社会貢献評価”などを総合的に加点したうえで、等級を判定しています。

本記事では、兵庫県の建設工事における入札格付け制度をわかりやすく解説し、どうすれば高い格付けが得られるのか、そのポイントを整理していきます。

 


 

入札格付けとは?兵庫県の制度の特徴

兵庫県では、一定金額以上の公共工事を競争入札によって発注しています。入札に参加するためには「資格審査」と「格付け審査」が必要です。

制度の根拠は、以下の3つの文書に基づいて運用されています:

  • 「建設工事入札参加者選定要綱」

  • 「資格格付要領」

  • 「技術・社会貢献評価数値に関する要件」

格付けは、工種ごと(例:一般土木、建築一式、舗装、造園など)に設定されており、点数によってA~E等級に分類されます。これが「どの金額帯の工事を受注できるか」の基準になります。

 


 

🧩 格付けの基礎構造:総合点数はこう決まる!

兵庫県の建設工事における「資格格付け」は、単純な売上高や会社の規模では決まりません。総合点数(格付点数)は、以下の4つの要素を足し引きして算出されます:

 


 

① 総合評定値(経営事項審査の結果)

(配点の中心:最大1,200点程度)

これは国交省が定める「経営事項審査(経審)」のスコアで、略して「P点」とも呼ばれます。

主な構成要素:

  • Y点(経営規模):売上高、自己資本額、職員数など

  • Z点(経営状況分析):自己資本比率、収支率、支払能力など

  • W点(技術力評価):技術者数、元請完成工事高など

  • X点(その他社会性):建退共加入、法令順守、表彰、営業年数など

この**総合評定値(P点)が格付点数の土台になります。

 


 

② 技術評価数値(兵庫県独自の加点)

(最大:約160点)

兵庫県では、企業の「技術力」や「施工実績」「技術提案能力」などを数値化して評価します。加点の主な項目と点数は以下のとおりです

評価項目 加点
ISO9001認証取得(全営業所) 16点
CPDSやCPD単位の取得者在籍(工種別) 各6点
CCUS(キャリアアップシステム)登録 6点
技術提案(VE提案含む) 1件8点(最大48点)
工事成績(過去8年) 85点以上で120点~59点以下で-40点

特に「工事成績点」は最大120点~マイナス40点という大きな振れ幅があり、格付けに直結します。

 


 

③ 社会貢献評価数値(兵庫県独自の加点)

(最大:約120点)

単なる技術力だけではなく、地域貢献・福祉・環境などの取り組みも評価されます。以下が加点対象です:

評価項目 加点
障害者雇用 最大40点(法定雇用率により変動)
ISO14001またはエコアクション21取得 16点
女性活躍推進、子育て応援協定など 各8点
災害協定の締結と出動 最大16点
若年技術者の新規採用 8点
刑務所出所者雇用、暴力団排除協力など 各8点

このような非財務的取り組みが数値で評価されるのが兵庫県の特色です。

 


 

④ 減点要素:指名停止・資格制限

(最大:-100点程度)

重大な法令違反や工事事故、不正受給等があると、以下のような減点が適用されます:

減点項目 減点
資格制限中(経審未受審など) -20点~
指名停止(不正、事故等) -40点~100点

このため、トラブルのない健全な経営を続けることが、点数の下支えになります。

 


 

🧮 総合点数のイメージ式:

 

総合点数(格付点数) = 経審の総合評定値(P点) + 技術評価数値 + 社会貢献評価数値 - 指名停止等による減点

 


 

📝ワンポイント実務アドバイス:

  • 技術点と社会貢献点は、証明書の提出や協定の締結だけで簡単に加点されることも多く、「低コスト高得点」。

  • 特に「CPDS単位取得」「ISO取得」「CCUS登録」などは書類だけで完結し、加点も即効性あり

  • 点数が等級ぎりぎりの場合、たった1件の工事成績改善や認証取得で上がる可能性もある。

 


 

等級と受注可能工事の関係

兵庫県では、工種ごとに格付点数の幅に応じて、A~E等級が設定されており、それぞれ対応する工事金額が定められています。たとえば「一般土木工事」の場合、点数が1732点以上で等級A、595点未満で等級Eとなります

また、以下のような特例も用意されています:

  • 成績特例:工事成績が75点以上の県内業者はワンランク上の工事にも参加可能

  • 社会貢献特例:社会貢献評価点が40点以上なら上位格付と同様の扱いを受ける

  • 上位特例:格付点数が50点以上の県内業者には「上位特例範囲」の工事に参加可能

つまり、単なる“売上”や“規模”だけでなく、技術力や社会貢献の実績でも上位格付が目指せるということです。

 


 

評価時期と加点期間に注意

評価項目によっては、加点の有効期間が「1年間」「2年間」「3年間」と異なり、次回申請時に再加点されないケースもあるため、毎年の申請時に再確認が必要です。

例:

  • ISO認証など → 1年ごとに更新

  • 技術提案の実績 → 2年間有効

  • 暴力団追放活動 → 最大3年間加点

  •  

兵庫県の建設工事入札格付け制度における「技術・社会貢献評価数値」は、努力次第で取得可能な“主観評価”項目が多数あります。
その中でも特に「加点が取りやすい=再現性が高く、コストや手間に対して効果が大きい」ものに絞って、実務的観点からご紹介します。

 


🔍 取りやすい主観評価加点項目ベスト10(技術・社会貢献評価)

項目名 加点 備考
1. CCUS事業者登録 6点 建設キャリアアップシステム(CCUS)に事業者登録済みであること。【技術】
2. CPDS・CPD単位取得者の在籍 各6点 要件に該当する工事の種類ごとに加点。講習受講で容易に加点【技術】
3. ISO9001・14001取得 各16点 取得コストはあるが、1回の投資で複数年有効。営業所が複数ある場合すべての営業所が対象になっていることが必要【技術・社会貢献】
4. 災害協定締結(県との協定) 8点~

次のいずれかに該当すること。

ア 災害発生時に、県から支援要請できる次の協定締結等をした場合

(ア) 災害時における応急対策業務に関する協定締結

(イ) 災害対策等緊急連絡網への登録

イ 緊急小規模工事請負契約を締結した場合

ウ 県が管理する道路又は兵庫県立但馬飛行場における除雪業務又は凍結防止 剤散布業務の委託契約を締結した場合

エ 被災建築物応急危険度判定士の在籍地元建協経由で締結。即加点【社会貢献】

5. 障害者雇用(1人雇用でも可) 20点~40点 雇用実績により段階加点【社会貢献】
6. 子育て応援協定の締結 8点 兵庫県子育て応援協定要綱に基づく子育て応援協定で家庭に配慮した取組を行 うことについて県と協定を締結していること。【社会貢献】
7. 女性活躍推進の取組 8点

次のいずれかに該当することとし、加点期間について、アに該当する場合にあっ ては1年間、イに該当する場合にあっては2年間とする。

ア 兵庫県の男女共同参画社会づくり条例(平成14年条例第11号)第13条の規定 に基づき、県と男女共同参画社会形成に係る協定を締結していること。

イ ひょうご女性活躍推進企業(ひょうごミモザ企業)の認定を受けていること。 なお、両方の要件に該当する場合であっても、重複加点は行わない。【社会貢献】

8. 安全講習への参加 6点 建災防等の講習受講で取得【技術】
9. 県の関係事業に対する支援 6点 県又は県の関係事業(県が実施する事業、県との協定に基づいて関係団体が実施 する事業及び県が関係団体に委託した事業)に対して、10万円以上の寄附(土地・ 建物、物資の提供等で金銭換算できるものを含み、無償貸与を除く。)を行ったこ と。【社会貢献】
10. 県内新規中小企業者(創業10年未満) 4点 設立年月日が対象なら無条件で加点【社会貢献】


 

📌 注目ポイントと実務アドバイス

✅ 1位:CCUS事業者登録【6点/技術】

ログイン画面と管理者ID明細のスクリーンショット提出のみ

加点は1年間有効で、更新も容易

 


 

🎯まとめ:コスパ重視ならこの順番で攻めよ!


 

⚠ 注意すべき点

✅ 5位:障害者雇用【20~40点/社会貢献】

✅ 4位:災害協定【8点~16点/社会貢献】

✅ 3位:ISO認証(9001・14001)【各16点】

✅ 2位:CPDS・CPD単位取得【6点/技術】

 

  • CCUS登録(即加点)

  • CPDS/CPD単位取得(1人でOK)

  • 災害協定の締結(商工会で相談可)

  • 子育て・女性活躍の協定(書類のみ)

  • ISO認証(コストあるが強力)

  •  

  • 一部の加点項目は書類提出が必須。証明書の不備で却下されるケースもあり。

  • 工種ごとに別カウントされる加点(例:CPDS)は、戦略的に複数職員に分担させると高効率。

  • 「工事成績」「技術提案」「表彰歴」などは取得難度が高いため、短期戦略ではなく中長期対策が必要。

  • 1人でも雇用すれば加点対象に

  • 労働局提出の「障害者雇用状況報告書」が証明書類

  • 地元建設業協会や商工会議所と連携すれば締結可能

  • 実際に出動すればさらに加点(協定8点+出動8点)

  • 取得に費用はかかるが、1度取れば加点期間が長く見返り大

  • 全営業所に適用必要なので注意

  • 1名の職員に単位を取らせるだけで加点

  • 工種ごとにカウントされる(例:土木と建築でそれぞれ6点)

  •  

 

入札戦略としての格付け対策

✍ 技術面の対策

  • 工事成績の底上げを図る(低評価の現場を作らない)

  • CPDS単位の取得やCCUSの活用を積極化

  • ISO取得や独自技術の登録(NETIS、ひょうごの土木技術など)

🤝 社会貢献の強化

  • 障害者雇用・若手技術者の採用

  • 防災協定・道路清掃など地域活動への参加

  • 子育て・女性活躍などの協定締結

  •  


 

まとめ:格付けで“選ばれる会社”になるために

兵庫県の格付け制度は、単に過去の実績だけでなく、将来に向けた取り組みを評価する仕組みが整っています。工事成績が少なくても、社会貢献活動や技術者育成で積極的に加点を狙うことで、大きな工事にチャレンジする道が開けます。

「自社の強みをどうアピールするか」が格付けを左右する鍵となる今、継続的な対策と戦略的な申請が重要です。

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